マナーうんちく話220≪就職祝いと親先輩の役割≫
贈り物には理由が必要ですが、それを端的に表現するのが「表書き」で、非常に沢山あります。
慶事一般には「御祝」と書けばまず間違いないですが、さらに「何のお祝いか」を具体的に表現すればなお結構です。
「入学祝い」「昇進祝い」「結婚祝」「新築祝い」「出産祝」等など・・・。
また、特に結婚祝いは「ことほぐ」の意味を込めて「御結婚御祝」の他に「寿」と表現するのもお勧めです。
そして慶事には、濃い墨で黒々としたためればいいでしょう。
注意して頂きたいポイントは水引で、昇進、入学、長寿など何度あってもいいお祝いは「蝶結び」、結婚のように、これきりのお祝いは「結び切り」です。
表書きの字は上手下手よりも、解りやすく丁寧に書くのが基本です。
楷書ではっきり書いて下さい。
上段中央に「何のためのお祝いか」を表現する言葉を書き、下段中央にやや小さめな字で送り主の名前を書きますが、名前はフルネームがお勧めです。
但し目上から目下に贈る場合は苗字だけでもいいでしょう。
また、身内の場合は「春子」のように下の名前だけでもかまいません。
謝礼には「御礼」と書きますが、季節毎の贈答の場合は「御中元」「御歳暮」、新年には「お年賀」になります。
ところで、謝礼には「御礼」の他に、「寸志」と言う表現もあります。
心ばかりの贈り物と言う意味です。
但し、目上の方には使わないでください。
ちなみに「粗品」とは、人に贈る品物及び景品をへりくだって言う言葉です。
心ばかりのお礼の場合には、少しお洒落な表現ですが「松の葉」と言う表現もありますが、これは頂いた方が、何のことか意味が解らない場合もあります。
そのまま「心ばかり」や「感謝」と表現すれば誰でも理解できます。
相手により臨機応変にして下さい。
ちなみに「松の葉」とは、「松の葉で包むほど僅かばかり」、あるいは「松の葉に隠れるほど少ない」と言う意味です。
目上・目下両方使えますが、他家や他社を訪問する際、「ほんの手土産です」と言う意味でも使います。
先人の感性は本当に素晴らしいですね。
加えて「寸志」の「寸」を取り除いた「志」だけの場合は、弔事になりますので注意して下さい。
「寸志」と「志」は意味が大きく異なると言うことです。
「志」は水引なしで、白い封筒がお勧めです。
小さめの白封筒が有ればなお結構です。
上の段に「志」、下側に苗字を、薄墨で書けばいいでしょう。
葬儀の際、喪家がお世話になる方にさしあげる「心付け」等の表書きです。