マナーうんちく話521≪お心肥し≫
日本は四季が明確に分かれているせいでしょうか、世界的に年中行事が非常に多い国です。
季節の節目・節目には必ず様々な行事があります。
その代表的なものが、陰陽五行説に由来し日本の暦に定着した「五節句」で、今でも伝統的な年中行事を行う季節の節目となる日になっています。
「人日」「上巳」「端午」「七夕」「重陽」の節句がそうですが、これは様々な季節の行事の中から、特に江戸幕府が公的行事を行う祝日として定めたもので、その季節を代表する旬の植物の名前が別名として付けられています。
順に、「七草」「桃」「菖蒲」「笹」「菊」の節句ですが、旬の植物はエネルギーが満ちていますから、その力でもって邪気を払うとされたようです。
また、節句に「雛人形」や「五月人形」等の人形を飾ったりしますが、これが「節句人形」と呼ばれるものです。丁度今頃は「雛人形」のシーズンで、お雛様が終われば「五月人形」の出番ですね。
昔の人は、女の子や男の子が生まれると、その子が健やかに成長するように願いを込めて人形を飾ったのでしょう。
また、二十四節季において一年のスタートになる「立春」も大きな節目ですが、春を迎える大きな喜びの時でもあります。だから様々な伝統行事があります。
さらに「恵方巻き」のように、最近になって、売上向上の戦略として新たに定着した文化もありますね。邪気を払い幸せ祈願という名目は、何時の世も受けるということでしょうか。
加えて今の日本は、世界屈指の長寿国でもあります。
だから長寿の節目・節目にも沢山の行事があります。
例えば、「誕生」「成年」「婚姻」「葬送」は、人生における4つの大きな節目とされ、盛大な儀式を執り行います。
特に出産、子育ては本当に大事であったため、それにまつわる行事は沢山存在しますね。
命名の儀、喰い始め、宮参り、初節句、初誕生日、七五三、入学祝いなど等・・・。
子どもが一定の大きさになるまでは、今の戸籍である人別帳に記載されず「神の子」として扱われた時代ですから、とにかく「神頼み」は大切で、沢山の行事を行うことにより、子どもが健やかに成長する備えをしたのでしょう。
つまりそれだけ当時の人は、子供を大切にしたわけで、命の尊さを真剣に考えていた証しではないでしょうか?
これだけ大切にしてもらいながら成長し、かつ世界屈指の豊かで便利で平和になった日本の今の子は、さぞかしハッピーと思われますが、現実は、日本の子どもは世界的にも非常に多くのストレスを抱えているとか・・・。
また、日本では子どもの自殺も珍しく無くなりました。
どこかおかしい気がしませんか?
そしてある一定に子が育つと、今度は人生における様々な節目の祝い事があります。
十三参り、成人祝い、厄除け、長寿の祝いなど等です。
銀婚式や金婚式も忘れてはいけません。
特に長寿国になった日本では、今後は長寿の祝いに重きが置かれるでしょう。
物の豊かさや便利さを追い求めることも大切でしょうが、たまには先人が大切にしてきた、季節や人生の節目に思いをはせることもお勧めです。