マナーうんちく話453≪冬来りなば春遠からじ≫
秋晴れに恵まれてシルバーウイークを楽しまれていると思います。
9月21日は「敬老の日」で、全国津々浦々多彩なイベントが繰り広げられています。
高齢化は益々進展し、それに伴い長寿の人も年々増加傾向にあり、現在80歳以上の人が全国には1000万人以上います。さらに100寿の人は61568人で、平均すれば人口10万人の町で48人存在する計算になります。
なお、敬老の日に関しては、「マナーうんちく話334《人生100歳 亀の甲より年の功》」、「マナーうんちく話593《敬老の意味と長寿の祝い》」を参考にして下さい。
そして、9月23日は「秋分の日」であり、国民の祝日でもありますが、「春分の日」と同じように、秋分の日は毎年同じ日ではありません。
共に、昼と夜の長さが同じになる日で、毎年日本では国立天文台が作成する冊子により決められます。
秋分の日は大体9月22日か23日なのですが、国家の祝日がこのようにして決められるのは世界的にも珍しいようです。
ちなみに、秋分は昼と夜の長さが同じということですが、厳密には昼の方が14分長いそうです。
また、春分の日と秋分の日は祝日ですが、夏至と冬至は祝日ではありません。
ところで、「暑さ寒さも彼岸まで」と言われますが、実際には秋分の日の方が、春分の日より平均気温が約10度高くなっています。
天文学的には同じでも、気候条件は大きく異なると言うことですね。
そして秋分の日は、太陽が真東から出て真西に沈む日です。
これは春分の日も同じです。
違うのは、秋分の日を境に、夜が次第に長くなると言うことです。
旧暦の9月を「長月」と呼ぶのはこのためです。
そして、先祖供養するためにお墓参りをする日ですが、同じ仏教国でも日本独特の風習です。
昔は、浄土は西にあると信じられていたので、太陽が真西に沈む日は、先祖と一番近くなるからお墓参りをするわけですね。
しかし、お彼岸はお墓参りをするだけではなく、農事と深い関わりがあります。
つまり、豊作を祝い、感謝を捧げる日でもあると言うことです。
また、この時期の旬の行事として「社日」があります。
その地域の土地の神様に感謝するお祭りで、地域性が非常に豊かです。
春の社日は種まきの時期であり豊作を祈願し、秋の社日は収穫の時期ですから無事に収穫できることを祈願します。
「野菜作りは土づくりから」といわれるように、農業で生計を立ててきた日本人は、大地の恵みである土と非常に深い関わりがあるわけで、社日はとても大切な節目の時期です。
「お月見」や「村祭り」も収穫を感謝するお祭りですが、昔の人にとっては、農作物の出来・不出来は、まさに命にかかわることだったのですね。
それから、秋分の日にお供えする「お萩」は、春分の日には「牡丹餅」と言う名に変わります。
春は牡丹の花が咲き、秋には萩の花が咲くので、それにちなんでなづけられました。
牡丹は百花の王様と呼ばれ、萩は万葉集で一番多く詠まれている秋を代表する花です。
同じ食べ物でも、このように季節により呼び方を変えたのも、先人の豊かな感性ですが、加えて食べ物に対する愛着だったのですね。