マナーうんちく話569≪泥より出でて、泥に染まらず≫
従って5つの節句でも、特に格式が高い節句と認識頂いたらいいと思います。
そしてそれぞれの節句にも別名がありますが、重陽の節句は「菊の節句」とも言われています。
日本には5つの節句がありますが、9月9日は「重陽(ちょうよう)の節句」です。
中国では奇数は縁起のいい「陽」の数字とされ、中でも「9」は一番格式が高く、それが重なる、つまり陽が重なるから「重陽」になります。
菊は邪気を払い、長寿を招く大変お目出度い花です。
平安時代には、重陽の節句になると貴族たちの間で、盃の中に菊をちりばめて飲む風習が出来上がり、江戸時代になると、諸大名が江戸城に登城して、菊を献上し、菊酒でお祝いをしております。
ちなみに、日本酒の好きな人はお分かりだと思いますが、日本酒の銘柄には「正宗」や「鶴」と同じく、「菊」の名前が多く有ります。
実はその由来は、この「菊酒」にあります。
《草の戸や 日ぐれてくれし 菊の酒》(松尾芭蕉)
重陽の節句には、早朝から菊の酒で祝うのに、自分には関係ないと思っていたところ、夕暮れになって門弟から酒が届いた。
ほのぼのとした句ですが、今夜あたり、健康と長寿を祈願して、親しい人同士で菊酒を楽しむのもお勧めです。
できれば、一句ひねってみるのもいいかも・・・。
平安貴族は、重陽の節句には、盃に菊の花びらを浮かべた酒を飲みながら、詩歌を詠みあって、雅なひと時を過ごしたそうです。
しかし、現在では五節句の中でも、殆ど知られてないのが現状です。
一番格式が高い節句なのになぜ?と思われるかもしれませんが、今の季節と菊が結びつかない理由の他に、儲からないからというのも大きな原因ではないでしょうか?
もっとマスメディアが、重陽の節句の由来などを積極的に報道すればいいのにと思うわけです
「地獄の沙汰も金次第」と言います。
平安時代からの歴史を有する由緒ある「重陽の節句」が忘れ去られて、主として英語圏で開催されているハロウィンが日本にすっかり定着し、年々派手なイベントが繰り広げられるのは矛盾を感じます。
ハロウィンが定着した理由は、その行事の趣旨に賛同するより、ハロウィン関連商品販売の大きなビジネスチャンスになるからで、それにイベント性が加味されたからだと思いますが、儲かればいい!楽しければいい!では寂しいですね。
このイベントは何のために行うのか?
その由来や意義を正しく子ども達に伝えて欲しいものです。
ハロウィンは悪霊を払うと共に、収穫祭の意味合いを持つようですが、実は「重陽の節句」も、収穫祭の意味合いが濃い行事で、「栗の節句」とも言われています。
だから栗ご飯などを焚いて祝い、感謝するわけです。
米を中心とした農耕文化で栄えた日本人にとって、切っても切れない関係にあり、歴史的な価値も高いわけです。
国際化の時代だからこそ、自国の文化は大切にしたいですね。