マナーうんちく話569≪泥より出でて、泥に染まらず≫
この時期になると春の陽光をたっぷりと浴び、梅雨の恵みを受け、木や花は成長を早め色とりどりの花を咲かせます。
先ずは【向日葵】が自己主張を始めます。
夏の花火と共に日本の夏の風物詩を彩る代表格で、毎年のことですがマスコミが真っ先に取り上げます。
「日輪草」の別名を持ち、その姿から太陽の象徴とも言われ、青空に向かって逞しく伸び、大輪の花を咲かせるこの花に、夏を元気に乗り切るエネルギーを頂くのもお勧めです。
また、ぬけるような青空と向日葵の黄色のコントラストは、私たちに勇気を与えてくれるような気がします。
花言葉は「愛慕」。
憧れの人にプレゼントするのもいいですね。
一方、静かに夏の夜に咲く花もあります。
夏の夕方に静かに咲いて、朝にはしぼんでしまう【月見草】です。
江戸時代に観賞用と入ってきましたが、夕方になると人目に付かないようにひっそりと咲き、朝方になるとしぼんでしまう姿が、「わび」「さび」を好む日本人の感性に受けたのでしょうね。
「無言の愛情」という花言葉が付いています。
また、夕方の咲き始めの色は白ですが、朝のしぼむ頃はピンクに変わっているので「移り気」という花言葉も存在します。
そして鮮やかな橙色の花を咲かせる【姫百合】も旬を迎えます。
ユリは茎に比較して花が大変大きいので、ユラユラと揺れるから「ゆり」となった説がありますが、咲いている姿を見ると頷けますね。
また、キリスト教の国々では「聖なる花」として有名で、純潔の象徴です。
花言葉は「可憐な愛情」です。
美しく、そして気高く咲く花にぴったりの花言葉ですね。
ちなみに「姫」と言う意味は、女性の美称や貴人の娘と言う意味がありますが、「ちいさくてかわいらしいもの」と言う意味もあります。
姫百合はまさにこの意味です。
そして梅雨の終わり頃に話のネタになるのが「合歓(ねむ)の木」です。
夕がたに繊細で愛らしいピンクのハケに良く似た花を咲かせますが、地方により「眠りの木」等と言う名前があり、桃のような甘い香りがします。
本州、九州、四国のどこにでも見られる「夫婦円満の木」です。
《昼は咲き 夜はひ寝る 合歓の木の花 君のみ見めや 戯奴(わけ)さへに見よ》と万葉集に歌われているように、日が当たる時は咲き、日が当らなくと閉じるので、その姿がまさに男女が合わさって寝ている姿に見えるのでしょうか・・・。
「合歓」の意味は、男女が共に合わさって眠る、喜びを共にするという意味ですから、家族や伴侶との中が良くない時は、この花を飾ってみてはいかがでしょうか?
雰囲気がほのぼのと和らいでくる効果が期待できます。
太陽に向かって夏を華やかに演出し、人の心を明るくする「向日葵」。
月が出る時間帯に限り、人知れずひっそりと咲く「月見草」。
うつむき加減ながら、どこか自己主張の強い「姫百合」。
昼に咲き夜は閉じ、夫婦和合を意味する「合歓の木」。
それぞれに、それぞれの個性がありますが、あなたはどのタイプでしょうか?
不思議に花言葉は「愛」に関連しています。
じめじめした蒸し暑い時であり、天候の不順な時でもあります。
こんな時こそ、初夏の花を食卓や居間に飾り、気分転換するのもお勧めです。