マナーうんちく話912《「餞別」の由来と渡し方のマナー①》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:日常生活におけるマナー

日本人は世界屈指の贈り物が好きな国民だと言われています。

物が豊かで、平和で、かつ贈り物を通じて、他者への思いやりの心を伝えたわけです。

3月14日はホワイトデーですから、日本中で贈り物が飛び交う日ですね。

しかし、贈り物の中でも、最も多いのが旅行土産だと言われています。

ホワイトデーは、「ホワイト」が純潔のシンボルだから、若者の爽やかな愛にマッチしていると言うことで、1980年頃から始まったようですが、土産の起源は何百年も前のことです。

先日、バス旅行をした際、ツワーコンダクターの方から、最も土産を沢山買う県は岡山県だとお聞きしましたが、そういえば旅行に行った時には、多かれ少なかれ必ず土産は買いますね。

今回のテーマは「餞別」ですので、旅行土産に比べれば頻度は少ないと思いますが、実は、かつては「土産」と「餞別」は、共に旅には付きものでした。

昔、お伊勢参りが流行った頃、全国津々浦々の集落から、誰かが代表してお伊勢参りをします。

目的は、極楽浄土に行けること、家内安全、豊作の祈願ですが、今のように交通手段が発達していないので、お伊勢参りは大変な仕事で、個人の力だけでは無理です。

だから村の中で誰かが代表してお伊勢参りをします。
その際、村人たちはみんなお金を出しあって代表者に贈るわけですが、これが「餞別」の起源だと言われています。

昔の旅行は危険がつきものでしたから、こうして家族や友人や村人が集まり、一席設けて、皆で旅の無事を祈ったのでしょうね。

そして、お伊勢参りをしたら、餞別を頂いた人全員に、その見返りとして、御札やお守りを渡します。

その後、神社の周囲には、その土地の特産物などを商う所が出来、土産屋が出現し、旅行者は「土産」というものを買い求めました。

また、以前にも触れましたが、餞別の「餞」は「はなむけ」と言う意味がありますが、これは馬の鼻です。

むかし、旅人を見送る人が、旅に出る人のいく方向に向けて、馬の鼻を向けて、旅人の安全を祈願したと言われています。

それが今では、餞別は転勤、転校、長期に渡る旅行・出張・留学に行く人に対して贈る、品物や現金を意味するようになったということです。

「今までお世話になりありがとう。」「新しい環境に早くなじんで元気で活躍して下さい。」「無事に旅行を楽しんで下さい。」「しっかり勉強してきて下さい。」等の意味がこもっています。

次回に続きます。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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