マナーうんちく話521≪お心肥し≫
立春が過ぎたので、これからは「寒中お見舞い」から「余寒お見舞い」になりますが、最近はすっかり「余寒見舞い」が遠のいた気がします。
それにしても、季節は春だと言うのに、「イスラム国」関連のニュースは日毎に衝撃度が高まりますね。
日本としても、これから新たに取り組まなければならないことも多々あると思いますが、こんな時だからこそ、改めて、日本の素晴らしさを再認識することも大切ではないでしょうか?
江戸時代に日本を訪れた多くの欧米人は、日本の貧しくても平和で、幸せそうな光景を目のあたりにして、大きな感銘を受けたと言われています。
また、「和食:日本人の伝統的な食文化」がユネスコの無形文化遺産に登録され、和食が世界的に注目を集めています。
加えて、オリンピック招致委員会で話題になった、日本の「お・も・て・な・し」の心に熱い視線が注がれています。
かつて日本人は、四季が美しくて平和な社会背景の中、自然と共生し、農業に勤しみ、常に礼儀正しく、謙虚だけど凛とした主体性を維持してきました。
さらに江戸幕府は、相互扶助の社会を作り、「お互い様の心」「助け合いの心」「思いやりの心」を育んできました。
今、このような日本固有の文化やDNAが、世界に評価されることは誠に誇らしいことですが、日本人の実態とはかけ離れている点が多々あります。
例えば、日本は世界屈指の「飽食の国」「美食の国」になりましたが、箸使いがまともに出来る人はごくわずかです。
ちなみに、「箸とお椀」。どちらを先に持ちますか?
また、正しい箸使いや器の扱い方に自信がありますか?
和食が世界無形文化遺産に登録された理由をご存知でしょうか?
最近は物が豊かになり、便利になり、それと共に自由・個性・自分らしさが優先されています。
素晴らしいことですが、反面、他者を思いやる心は希薄になり、「無縁社会」「孤立社会」等の由々しきキーワードが生まれました。
さらにイジメ問題、不登校、環境破壊、難婚化現象等は留まるところを知りません。
日本は、「モノが豊かで便利になったが幸せではない」理由が、まさにここにあるのではないでしょうか?
そこで改めて、日本人が長い間育んできた文化や礼儀作法や和の心を見直し、忘れかけた和の文化を発掘し、気軽に生活に取り入れ、心豊かな暮らしが出来る取り組みが必要ではないでしょうか?
国際化が進展し、社会情勢が大きく変化し、価値観やライフスタイルが多様化する中、思いやりの心や生活の知恵が凝縮された、和の文化の理解を深める機会を作ることはとても大切です。
そして、日本の持つ固有の文化や継承の大切さを再認識したいものです。