マナーうんちく話604≪武士は食わねど高楊枝≫
今まで、部屋の中で目上の人やお客様が座る場所が上座、目下の者や幹事が座る側が下座について、様々な角度から触れてきましたが、いずれの場合も基本をしっかり把握して下さい。
そして、あとは臨機応変に柔軟に対応することが大切です。
ちなみに、目上の人と言うのは、一般的には役職が上の人を指します。
但し、同じ役職同士でしたら、通常は年長者が優先です。
夫婦同伴の場合の、奥様は夫の役職に準ずると考えます。
以上の事を参考にしながら、その場に応じた対応される事をお勧めします。
例えば、出入り口は下座で年長者には不向きかも知れませんが、トイレが近い人にとっては出入り口近くが助かります。
特に超高齢化が急速な勢いで進展している現在では尿トラブルを抱えた人は多くこのようなケースは大いにあり得ます。
しかし、「あなたはトイレが近いので出入り口近くが良いでしょう」と聞くわけにはいきませんので、「お席はどちらが宜しいですか?」等と聞いてあげればいいでしょう。
また、男性優位の考えが根付いている和室では男性を立てて頂いた方が良いですが、レディーファーストが優先される洋室では女性上位になります。
さらに、日本では左上位ですが、プロトコール(国際儀礼)では右上位です。
従って、回転式の丸テーブル席では、出入り口から一番遠い席が最上位ですが、その席を挟んで2番目の席は左か右か、どちらになるかはとても複雑です。
左上位を採用するか、右上位扱いにするかで異なります。
周囲の状況などをトータルに考慮して、決められたらいいと思います
基本からずれた場合は、特に注意して頂きたいことがあります。
つまり、「なぜこうなるのか?」と言う明快な説明が大切です。
例えば、和室で有れば床の間に一番近い席が上座になりますが、景色や冷暖房の効き具合により基本から外れることもあります。
そのような場合は、「本来ならこちらが上座になりますが、こちらの席の方が日当たりや景色も良く、暖房もよく聞いていますのでこちらにどうぞ」というような言葉を添えることが大切です。
客として来られた人に、上座ではなく下座に近い方に座らせたら、不信感を与え、信頼関係が壊れかねません。
言葉不足は信頼関係を大きく損なうことになりますので、くれぐれも言葉不足には注意して下さいね。
最後に、上座や下座の概念とは別に、
○相手より先に歩かない。
○相手に危険が及ばないように注意する。
○相手に思いやりの心を抱く等も併せて配慮して下さいね。