マナーうんちく話604≪武士は食わねど高楊枝≫
春の訪れを告げる華道展が各地で開催される頃ですね。
今時はウメやサンシュが多いようですが、カスミソウやネコヤナギも重宝されます。
カスミソウは、誰にでもなじみが深いとても小さな花ですが、小柄ながら、その華やかさは生け花やフラワーアレンジメントの脇役として大きな存在感があります。また、花束のアクセントにも最適です。
ナデシコ科に属し、昔は日本では「小米撫子(こごめなでしこ)」と言われていましたが、西洋ではベビー・ブレス、つまり「赤ちゃんの息」という名前が付けられています。
一方、ネコヤナギは北海道から九州に至る河川の水辺で自生し、早春の川辺で美しい穂を出し、春の到来をいち早く告げてくれます。
また、「猫柳」の名前の由来は、漢字の通り「猫の尾」に見立てております。
一方、猫の尾に見立てた柳が猫柳なら、子犬の尾に見立てた「狗尾柳(エノコヤナギ)」も有ります。
カスミソウもネコヤナギも、雪の中で美しい花を咲かせる用意を虎視眈々と行い、やっと顔を出した花達は、あたかも長くて厳しい冬をひたすら耐えてきた開放感や元気を与えてくれそうで、眺めているだけでも安らぎますね。
ところで、カスミソウもネコヤナギも花言葉は、「人の魅力を引き出す」とか「努力すれば報われる」です。
努力すれば努力した分だけ報われる保証はありませんが、どんな些細な事でも、努力し続ければ、いつかきっと報われる時が来るのではないでしょうか。
だからこれに類似した諺が沢山あるわけです。
例えば「石の上にも3年」、「為せば成る」、「思う念力岩をも通す」、「雨だれ石を穿つ(うがつ)」、「牛の歩みも千里」等など・・・。
加えて、「玉磨かざれば光なし」とも言われます。
どんなに素晴らしい玉であっても、丁寧に磨かなくては美しい光沢は出ません。
つまり、いくら素晴らしい才能を持っていても、努力しなければ優れた人物にはなれないと言う教えですね。
マナーも同じ事が言えます。
いくら沢山のマナーに関する知識を深めても、プライベートやビジネスシーンで発揮できなければ何にもなりません。
また、「愛は愛によって報われ、仕事は仕事によって報われる」と言われています。
仕事に対する熱意や努力が成果として現れるように、無垢の思いで人を愛することで、今度は人から愛され、その思いが報われます。
日本は世界屈指の長寿の国ですが、長い人生を、仕事と愛によって報われるほどハッピーな事はありません。
そのためには、素敵なマナーを多く身に付け、至る所で発揮される事をお勧めします。
私たちはともすれば、お金や名誉や地位で報われようとしがちですが、「思いやり」や「感謝」の心で報われる事もまた幸せな事だと思います。