マナーうんちく話239≪バラ色の人生とマナー≫
11月3日の「文化の日」は、好転気に恵まれる確率が非常に高い「晴れの日特異日」とも言われていますが、たまには雨が降ることも有ります。
もともと文化の日は、明治時代は「天長節」、その後戦前まで「明治節」と呼ばれ、明治天皇の誕生日を寿ぐ休日だったわけです。
そして、戦後の1948年に制定された国民の祝日に関する法律により、「自由と平和を愛し文化を薦める」祝日として定められたといういきさつがあります。
敗戦により、それまでの軍国主義から一変し、戦争放棄、主権国民、基本的人権を宣言した日本国憲法に基づき、平和への意思を基盤とする文化を発展させようとする趣旨には賛成ですが、最近は、外国文化に押されて、日本文化の影が薄れてきている気がしてなりません。
もともと日本は、平安時代にせよ、江戸時代にせよ、世界に類が無いような長い平和な時代を築き、素晴らしい文化を築きあげた国です。
日本国憲法が制定され半世紀以上経過しましたが、当時とは国際化が比較にならないほど進展し、国際色が豊かになりました。そして、マナーの分野では「プロトコール」と言う言葉が盛んに用いられるようになりました。
ちなみに、プロトコール(protocol)は国際儀礼あるいは外交儀礼とも言われ、国家間の儀礼上のルールですが、時と必要に応じ様々に変化します。また法的な拘束力も有りませんが、これだけ国際化が進展すれば、外交上のマナーや異文化の理解は必要不可欠になります。
加えて、プロトコールは式典や公式行事等における「序列の重要性」、席次や国旗掲揚などに用いられる「右上位」、もてなしをされたらそれと同程度のお返しをする「答礼・相互主義」、女性に対する「レディーファースト」、そして相手国の文化を理解し尊重する「異文化尊重」の5つを原則としており、その時の状況により調整されます。
日本人にとって、この5つの原則に、なじめるものも有れば、そうでないものもあります。なかでも女性に対して配慮する「レディーファースト」の文化はまだまだのようですね。封建時代の男尊女卑的風潮が長く続いたせいと、恥ずかしいという文化のせいかもしれませんが、もう少し前向きにならなければいけませんね。
また、異国の文化を理解し尊重することは大変素晴らしい事ですが、それは先ず、自国の文化や礼儀作法に精通しているということが前提条件だと思います。
日本は世界屈指の歴史を有する国で、平和な国です。
四季に恵まれ、さらに「気」という二十四の季節や、「候」と言われる七十二の季節がある国で、自然と共生してきた国です。
日本語は英語よりはるかに長い歴史があり、敬語がある大変美しい言葉です。
天長節や明治節と呼ばれていた時代には、多くの家庭では、子は親に対し敬語を使用し、家族の中に感謝・思いやり・敬う心がありました。
宗教面では神様(神道)・仏様(仏教)の国で、先人に対する感謝の心を常に持ち合わせていました。さらに風習やしきたりとも密接な関係がありました。
食文化でも世界に誇る素晴らしい精神文化を有しています。
しかし、これらの素晴らしい文化が外国の諸文化に押されて、今ではすっかり影をひそめてきた感がしてなりません。
例えば、子どもが英語は話せても、箸が正しく持てません。
カボチャと言えばハロウイーンの行事の方がはるかに有名になり、冬至にかぼちゃを食べる人はいなくなりました。
挙式も神前式より圧倒的にキリスト教スタイルに人気があります。
キリストの誕生日はキリスト教国が顔負けする位盛大に催しますが、お釈迦様の誕生日は話題にもなりません。
まさに本末転倒で、このような国が本当に幸せになれるのでしょうか?
マナーにおいてもしかりです。日本の礼儀作法、例えば和室における挨拶や正座が出来る人も本当に少なくなりました。由々しきことです。
文化の日と言えば、一部の人の勲章の授与が話題になりますが、その前に、多くの人が自国の礼儀作法や文化の素晴らしさを認識したいものです。