マナーうんちく話610≪人の心と秋の空≫

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:日常生活におけるマナー

今日10月20日は「土用の入り」です。
今では土用と言えば、夏の鰻を連想される方が多いと思いますが、土用とは雑節の一つで、「4立」、すなわち立夏・立秋・立冬・立春の直前18日間を意味する言葉で、その始まりを「土用の入り」と表現します。

平成25年の立冬は11月7日ですから、今日が「秋の土用入り」と言うことになります。
そして、土用には様々な「禁忌(きんき)」があります。

ちなみに禁忌とは、現代ではあまり気にすることは無くなりましたが、忌(い)み嫌って、慣習的に「してはいけない」とされていることです。

昔の人は、土用は季節が大きく変わる時だから、「無理をしないで体調管理をしっかりしなさいよ」と戒めたわけです。
そういえば最近急に寒くなりましたので、充分ご自愛くださいね。

そして、この時期になると、低気圧と高気圧が日本の上空を通過するので、空模様も大きく変わり易くなります。
朝晴れていても、昼には曇ったり、雨に見舞われることも珍しく無くなります。

「女心と秋の空」と言われます。
女心は、秋の空のように移り変わりが激しいという意味です。

では、男はどうか?と言えば、男心も常に安定しているとは言えません。
だから、「男心と春の空」と言われます。
春の天気も、秋と同じようにコロコロ変わります。

秋の空・春の空・女心・男心等の表現の仕方は色々あるようですが、要は人の心は常に変化するという意味です。

簡単に変わってもらっては困るケースと、状況や時の流れに応じて変わらざるを得ないケースも有りますので、一概には言えませんが、豊かで便利な世の中になるにつれ、人間力が弱くなっている気がしてなりません。

「人間力」とは、自立した一人前の人として、世の中を力強く生きていく総合的な力です。
つまり、自分の未来を明るく切り開いていく力で、テストの成績やスキルだけで比較することはできません。

したがって、この人間力がどの程度兼ね備わっているかどうかで、自分の人生が大きく変わってくると言えます。

具体的には、仕事をする力、恋をする力、結婚して家庭を築き子育てをする力、さらに世界一長寿になった国で、仕事や子育てを終えた後の人生をいかに心豊かに生きるかという力、社会に貢献する力等などです。

そして、人間力が弱ければ、家庭では団らんの時間が無くなり不和の状態に陥ります。学校ではクラス崩壊・いじめ・不登校・校内暴力が多発しそうです。また、職場ではパワハラ・セクハラ・若者の早期離職が発生し、社会全体では無縁社会というキーワードが生まれ孤独死・自殺・離婚・悪質な詐欺等の増加が目立つようになります。

日本は四季に恵まれ、豊かで便利で平和で、さらに教育水準も非常に高い国であるにもかかわらず、幸福度がそれに追いつけず、矛盾に満ちていますが、不思議なことに、人間力を高めようとする動きは全然見えてきません。

政治・政策面で論争になることもありません。
お笑い番組やグルメ番組は氾濫していますが、マスコミが人の在り方について話題にすることはありません。

教育面でもしかりです。
政権や首長が変わる度に教育の再生が叫ばれますが、人間力そのものを総合的に高める政策は見えません。

それでは、一体全体何が原因で人間力が弱体化しているかと言えば、ひとえに家庭における子供の躾の在り方ではないでしょうか?

家庭でも、学校でも、社会でも、利便性や物質的な豊かさのみを追求しすぎます。さらに、人間力を高めるのに一番大切な家庭における躾けが非常に弱くなっているのが気になります。「マナーうんちく話611」に続きます。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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