マナーうんちく話535≪五風十雨≫
夏休みがスタートし、いよいよ夏本番ですね。
そして、暦の上では、今が一年で一番暑い時で、7月23日は二十四節季の一つ「大暑」です。
アウトドア、夏祭り、花火大会、土用夜市等の夏の風物詩が目白押しの絶好の季節で、浴衣を着て、お出かけ予定の方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、「浴衣」の知識とマナーに触れておきます。
最近は、個性とか自由とか自分らしさが尊重され、しかも、ファッションも年々派手になり、それに販売側の巧みな戦略が加味され、「何でもあり」の様になって来た感が有ります。
また、浴衣は、着物のように厳格な決め事も無く、如何にも自由な感が有りますが、こうなるとかえって、これでいいの?と言う不安に陥ることもあります。
着物と浴衣では、季節や時間、さらに場所や場合等において、大きな違いが有りますが、一方、立ち居・振る舞い等においては似た面もあります。
ところで、浴衣の歴史は古く、平安時代に貴族社会で登場します。
当時は蒸し風呂が主流だったようで、蒸し風呂に入る際に、火傷をしないように着た湯帷子(ゆかたびら)が、そもそもの起源です。
やがて、裸で湯につかるようになってからは、湯上りに、木綿で作った「くつろぎ着」をきるようになり、これが今の浴衣の始まりです。
江戸時代には銭湯を利用するが一般的で、そこで、湯あがりに浴衣が着られるようになり、普段着としても広まったわけで、「湯帷子」を略して「浴衣」と呼ばれるようになりました。
風呂上がりに、浴衣を着て夕涼みをして、そして、蚊から身を守るために、蚊帳(カヤ)を吊るした寝床で就寝する。
つい40年から50年くらい前までは、日本人の夏の一番ラフな服装として、着物文化の中心的存在で有ったような気がします。
少なくともこの時点までは、浴衣の作法は、夕方から夜にかけて着る、くつろぎのための室内着で、外出着ではなかったようです。
最近は、浴衣がブームになり、公民館などでも浴衣の着付け教室等が有り、浴衣姿の人を頻繁に見かけるようになりました。
また、雑誌を見ても昼間を想定したシーンも多々ありますね。
ファッションは時代と共に感覚が変わるということでしょうね。
いずれにせよ、浴衣のマナーで最も大切な事は「美しく着る事」だと思います。
カジュアルな服装のイメージが強いだけに、着方が不味かったら、だらしないイメージになります。
先ずは最初にキチンと着付けて頂いて下さい。
それから、仲の良い人に、常に「着くずれ」をチックして頂くことも大切です。
要は、小まめに直すことです。
さらに、美しく見せるには、女性も男性も正しい姿勢です。
そして、女性は小幅で、どちらかと言えば内またで、男性は胸を張りどうどうとがポイントです。加えて、男性は女性を優しくエスコートして下さいね。
手を伸ばす時には、延ばしたい手の反対の手で、袖口や袂を軽くつまむと気品が漂います。《マナーうんちく話「和の立ち居振る舞い」》を参考にして下さい。
お化粧は清楚な感じが好感を持たれます。
また、常にエレガントな立ち居振る舞いを意識しておくのもお勧めです。
優雅な中にも涼やかで、清楚な雰囲気が醸し出されるようになればいいです。
最近の浴衣のお洒落は、ある程度社会性を有する「身嗜み」と異なり、大変プライベートなものです。結構大胆に着こなされている人もいますが、反面、保守的な人も多い気がします。
ポイントは、似合うか否かではないでしょうか?