マナーうんちく話516≪袖触れ合うも多生の縁≫
夏の季語には、「酷暑」や「炎暑」のように非常に厳しい暑さを連想させる言葉や、「雲の峰」という入道雲がむくむくと盛り上がった元気な様子を連想させる言葉が目立ちますが、清浄な青葉の中を拭きぬける清々しい感じがする「風薫る」という季語も有ります。
英語にもフランス語にも訳せない日本人独特の趣の有る言葉ですが、「酷暑」「炎暑」「激暑」等と言えば、なんと言っても冷たく冷えたビールが恋しくなります。
お勤め帰りにビアガーデンに寄られる方も多いと思います。
ところで、先輩や上司に、ご馳走になった時、「ご馳走様」のお礼は言いますか?
勿論、殆どの人が、ご馳走になったら「ご馳走様でした」と、お礼を言われると思います。
では何回、お礼を言われますか?
例えば、猛暑の中で仕事をした時とか、残業の後とか、大きな仕事の区切りがついた時等に、夕食をご馳走になります。
この時、先輩や上司がレジで支払いを済ませた後、その場でお礼を述べると思います。
問題はその後です。
つまり、翌朝、職場で、その先輩や上司に「昨夜はご馳走様でした」と再度、お礼が言えるかどうかです。
「昨夜キチンとお礼を述べたのだから再度言う必要はないだろう」という意見も多々あると思います。
さらに、先輩や上司も、お礼を言って欲しくてご馳走したのではないと思うから、「くどくど言うのは望ましくない」との考え方もあると思います。
暑い中無理をして仕事をしてくれた部下や後輩を労うため、いわば思いやりの心でのご馳走だから、「お礼は一回きりで良い」と言う捉え方ですね。
しかし、いくら人生経験の長い先輩や上司でも、朝にお礼を言われなかったら寂しいし、逆に言われたらとてもうれしいものです。
ということは、お礼は、「言われて嬉しい言葉」ですから、何度でも口に出すことが大切だと思います。
ポイントは、出し惜しみしないと言うことです。
食事をしている時の、「美味しい」と言う言葉もしかりです。
何も自分が作った料理ではないわけですが、美味しいと言われれば、その店に案内した先輩や上司は、鼻が高くなるし、嬉しいものです。
従って、この言葉も、一度言ったら再度言う必要が無いのではなく、何回でも言って下さいね。
結婚式に招待された時の「おめでとう」の言葉もそうです。
受付で祝儀を渡す時に「おめでとう」と言ったから、帰るまで言う必要が無いのではなく、「おめでとうの言葉」は、当事者や親や親族が言われる度に喜ぶので、何度でも言って下さい。
花嫁の事を「綺麗」と表現するのも同じです。
「綺麗」、「美しい」の言葉は連発して下さい。
「ありがとう」、「美味しい」、「綺麗」、「すごい」、「素晴らしい」、これらの言葉は多いほどいいわけで、相手の心を心地よくする効果が有ります。
ちなみに、上司にビアガーデンでご馳走になった時のお礼の言葉は、上司がレジで支払いを済ませた時に「ありがとうございました」とか「ご馳走様でした」、さらに帰り際にもう一度、そしてあくる朝出社した時に「○○課長お早うございます。昨夜はご馳走様でした。お陰さまでとても元気が出ました。」と言うようなお礼の言葉が出ればいいですね。
繰り返しますが、お礼の言葉は「出し惜しみしない」ことが大切です。