まなーうんちく話798《月々に 月見る月は 多けれど・・・。》
今日から7月。
陰暦では、7月のことを「文月(ふみづき)」といいますが、これは七夕の日に、短冊に文字や歌を書いて、書道や習い事などの上達を祈念した行事に由来すると言う説が有力です。
さらに「文月」の他に、「七夕月」、女郎花(おみなえし)月とも呼びます。
7月は色々な呼称が有りますが、海開き、山開きが行われ夏到来です。
ところで、「八十八夜」や「入梅」のように雑節の一つですが、夏至から11日目は「半夏生(はんげしょう)」です。
「半夏生」と呼ばれる植物が、この時期に花を咲かせるから、このように呼ばれます。また、この植物は、花の近くの葉の一部が白くなり、それが大変目立つので「半化粧」とも言われます。
ちなみに「半夏生」という植物は、田舎ではごくありふれた花ですが、同じ時期に「カラスビシャク」と呼ばれる薬草が生えます。
このカラスビシャクの漢名も「半夏」と呼ばれるので、ややこしいですね。
カラスビシャクも、畑に生える、ごくありふれた草です。
それはともかくとして、この頃になると、殆どの農家では、田植えが無事終わり、しばし身体休めができる頃です。
南北に長い日本では、地域によっては、これから田植えが始まる所もあります。
さて、俳句の世界では、春夏秋冬、それぞれの季節感を表現した「季題」が有ります。
秋は夜長(よなが)ですが、夏は「短夜(みじかよ)」と表現し、夏の夜の短い感じを意味します。
6月21日の夏至の頃が、夜が最も短いので、「短夜」と言う表現は、まさに的を射ていますね。
加えて、春は「日永(ひなが)」で、冬は「短日(たんじつ)」と表現します。
ところで、まだ照明器具が乏しかった頃、夜の明かりは、既にコラムでも触れましたが、せいぜい行燈だったわけですね。
しかし、それさえ、ままならぬ人も多かったわけですから、暗闇に覆われた夜は、さぞ恐ろしかったのではないでしょうか?
普通に考えればそのようになりますが、実は恐ろしい事ばかりでも無かったようです。
どういうことか想像付きますか?
つまり、男と女が、つかの間の逢瀬を楽しむ時でも有ったわけです。
逢瀬とは、大変古い言葉でピンと来ないかもしれませんが、愛しあう男女が密かに会うことです。
つまり「逢引」の事です。
逢引がピンと来なかったら「密会」でどうでしょうか。
間もなく七夕ですが、七夕と言えば、織姫と彦星が、年に一度の逢瀬を楽しむロマンが有名ですが、昔の人の方が情熱的だったのでしょうか・・・。
ロマンも良いですが「半夏雨(はんげあめ)」と言って、多雨に見舞われる頃でもあります。今では、俳人など特定の人を除いては、先ず知られてない言葉ですが、昔の人は殆どの人が農業に従事していたので、警戒した頃でも有ります。
大雨による被害が有りませんように・・・。
今日から一年の後半のスタートです。
「千里の道も一歩」からと言います。
最初の一歩を、身も心も元気で歩んで下さい。