まなーうんちく話798《月々に 月見る月は 多けれど・・・。》
環境保全の大切さがクローズアップされて久しいですが、その甲斐あって、ホタルを見かける機会が増えてきた気がします。
ホタルば、綺麗な水を好むので、環境状態の指標になりますが、雨上がりの夜に、幻想的な明かりをともして飛び交う様は、まさに初夏の風物詩で、豊かな自然の象徴ですね。
そして命が短いことから、蝉と同様、儚さの象徴とされています。
「ホタル二十日に蝉三日」とは、盛りの短さを表す言葉です。
日本には約四十種のホタルが存在しますが、中でも「源氏蛍」と「平家蛍」が有名ですね。
そしてこの名前は、平安末期の義経が大活躍した源平合戦に由来しているそうです。当時蛍の光は人の魂だと思われたのでしょうね。ちなみに、大きいほうの蛍が源氏蛍で、姿も発光量も小さい方が平家蛍です。
と言うことで、蛍は、単に人間の観賞用の虫ではなく、自然の大切さ、命の大切さと儚さを私たちに教えるために、あえて光を放ちながら飛んでいるのだと思うわけです。
そして、6月11日は雑節の一つである「入梅」です。
立春から数えて135日目ですから、毎年6月11日か12日になります。
雑節とは、二十四節季や五節句の他に、季節の移り変わりをさらに詳細に把握するために設けられた、特別な日の総称です。
お馴染みの雑節としては、「節分」「八十八夜」「土用」「彼岸」「二百十日」等が有ります。
昔は今のように農業技術や知識もなかったので、農業を行うに当たって、自然現象はとても大切で、生産性を少しでも向上させたり、自然災害から守るため、特に雑節を作ったわけで、いわば生活の知恵だと言えます。
マナーとは、「思いやり」や「感謝」の心を持ち、それを言葉や態度で具体的に表現することですが、人に限った事ではありません。
人にも自然にも素敵なマナーを発揮することが大切です。
この点が有る意味では、神様・仏様の国の在り方で、「人間が自然を超越する」と考える国とは異なる点です。
ちなみに入梅とは、本来は「梅雨入り」を意味していたようですが、今年は梅雨入りが例年より10日以上早かったので、今頃入梅と言ってもピンときませんね。
ただ、入梅は雑節ですから全国一律ですが、「梅雨入り」とか「梅雨明け」は、その年により異なります。また地域差もかなり大きいですね。
ところで「梅雨」とは、「梅の雨」と書きますが、その理由をご存知でしょうか?
梅雨は、6月から7月の初夏に降る長雨ですが、日本だけの現象ではなく、中国にも存在し、「梅雨(ばいう)」と言う言葉は、中国から入った言葉だそうです。
中国では梅の実が熟す頃に長雨が降るので、それを「梅雨」と表現したと言う説が有ります。
また、長雨により食物にカビが生えるので、カビをもたらす雨、つまり黴雨(ばいう)と読んでいたのですが、響きが悪いので、それと同じ読み方をする「梅」の字を当てたと言う説も有ります。
その「梅雨」が日本に入ってきて、江戸時代になり、「露(つゆ)」と表現するようになったとか・・・。
その理由は「梅の実に露が一杯付いているから」だそうです。
さらに、この雨で、梅が益々熟すわけです。
ちなみに、「梅酒用の梅」は熟す前、「梅干し用の梅」は熟した梅、加えて「ジャム用の梅」はさらに熟した梅が適しているといわれております。
梅は旬を代表するばかりでなく、用途がとても広く、大変貴重な果物ですが、比較的手軽に手に入りますから、色々と手作りされてみるのもお勧めです。