マナーうんちく話489≪「忌み言葉」とマナー≫

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:日常生活におけるマナー

春へ春へと季節がなびくこの時期には、日本人が使い続けてきた美しい言葉が沢山あります。

朧のイメージが有る「春の雲」、柔らかい日の光を表現する「春光(しゅんこう)」、冬の寂しさが漂いながらも精気が芽生えてきた「春の山」。

加えて、春の冷たさや寒さを表現する「余寒」、そして同じような意味ですが少しロマンチックな表現の「春寒(はるさむ)」等など・・・。

余寒や春寒は、春の到来を喜びつつ感じる、ほのぼのとした寒さの事ですが、それとは裏腹に、この冬最大の寒波がやってきているようですね。
体調管理には、くれぐれもご注意ください。

ところで話は変わりますが、皆様は「占い」や「まじない」等の迷信を信じますか?

迷信は、非科学的で、科学万能の時代には無縁のように思われがちですが、日本のみならず、世界中に根強く残っています。

なぜなら、迷信は信じないまでも、やはり、多少は気になると言う人が多いからではないでしょうか?

「大安」とか「仏滅」と言った六曜も、最近の暦から姿を消したように見えますが、結婚式等のハレの日には殆どの人が気にしています。

それは、迷信がひとえに特別なモノではなく、誰もが持っている、日常的な考えと同じ基盤の上に有るからだと思います。

しょせん、いくら科学が進歩しても、人間は弱いものであり、自分の力ではどうにもならない様々な出来事に対し、畏れ(おそれ)や恐れ、そして敬う気持ちが有るからだと考えます。

その典型的なものが、不吉な出来事を連想する言葉である「忌み(い)言葉」ではないでしょうか。

この忌み言葉は、日本では、気にすればきりが無いほど、慶事、弔事などの、あらゆる場面において存在します。

日本語は敬語も難しいですが、慶事や弔事における忌み言葉にも神経を使いますね。

忌み言葉で、一番多くみられるのは結婚式ですが、別れる、切れる、終わる、再び、重ねる、終わる、去る、帰る、重ねる、離れる、繰り返す等が有名です。

加えて、出産祝いの流れる、落ちる、消えるなど、新築祝いの倒れる、落ちる、朽ちる、閉るなど、長寿の祝いの老いる、折れる、散る、萎えるなど、入学祝いの負ける、落ちる、すべるなど、お見舞いの再び、度々、失せる、終わる等、加えてお悔やみの追う、再び、繰り返す、重ねる等など。

良い言葉を使えば良い結果が、悪い言葉を使えば悪い結果に繋がりかねないと言った理屈で、忌み言葉が存在するという説もあるようですが、例に挙げた忌み言葉は、日常生活で普通に使用されている言葉で、その使用においては何ら制限を受けるものではありません。

しかし、特定の、時や場所においては、不快感を与えることが有ります。
マナーとは、人に不快感を与えないことです。

従って、結婚式や葬儀などの特別な時や場所に置いて、相手に不快感を与えるので有れば、避けた方が良いかもしれません。

それは10人10色ですが、目安として10人中、7人から8人の人が不快感を覚えるようであれば、使用されないことをお勧めします。

今では、結婚式はキリスト教式が圧倒的に多く、加えて離婚観も変わってきています。また、産まれてくる人より亡くなる人が多い「少子多死社会」だから、死を避けるのではなく、死と向かい合うことも必要です。

このような理由から、忌み言葉はそれほど神経質になる必要は無いのでは?と思うこともありますが、大多数の人が気になるようでしたら、注意するにこしたことは無いと考えます。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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