マナーうんちく話502≪会話の中に季節の話題を積極的に!≫
仕事の合間を縫って、野菜作りに精を出していると、「土」の大切さが身に沁みます。
「食育」は「土育」からともいわれますが、まさにその通りですね。
まだまだ素人の域を脱することはできませんが、畑に「思いやりの心」を持って接すれば、四季を通じ多彩な実りをもたらしてくれます。
海や山や里には四季を通じ様々な表情が有りますが、畑にも四季折々の独特な風情が有ります。
緑豊かな春や夏に比べ、冬の畑はなんとなく地味な雰囲気が漂います。
最近になって、冬の野菜は厳しい寒さに遭遇して甘みが増してくる事を知りましたが、今年は特に寒さが厳しいようで、寒過ぎても良く有りません。
そして、我が家の、お世辞にも広いとは言えない畑も、今年は霜柱が目立ちます。霜が溶けて泥濘みになった土を「春泥(しゅんでい)」と言いますが、都会暮らしの人にとっては、あまり実感が無いかもしれませんね。
しかし、農業を営むに当たっては、とても気になるところです。
ところで、今日2月18日は二十四節季の一つ「雨水(うすい)」です。
温かみが増して、今までの雪が雨に変わる頃です。
日本の自然には、「春告草」の梅、「春告魚」の鰊(にしん)、さらに「春告鳥」の鶯等、春を告げてくれるものが沢山あります。梅が咲き、鶯が鳴いて、雪が雨に変わったら、本格的に農耕の準備に取り掛かる頃です。
いくら努力しても、常に自然の成り行きを気に掛けなければいけないのが、農業の厳しさであると思いますが、最近では、それにも増して、さらに厳しい現実が起きています。
野生動物の被害が、今非常に深刻になっています。
丹精込めて作った野菜が、野生鳥獣にかかっては、わずか一晩で全滅です。
我が家の農作物も、昨年の夏にはカボチャが、秋にはサツマイモ、さらにこの冬にはホウレンソウ、キャベツ、大根、ブロッコリー等の数少ない冬野菜が甚大な被害をこうむりました。
鳥獣被害と言えば、猪を始め、鹿、猿、狸、烏、ヒヨドリ等種類が多い上に、入り乱れてやって来るので、対策の立て方が有りません。
防御用の電気の柵やネットなども工夫されてきたが、敵もさるもの、生活がかかっているだけに始末に負えません。
彼らとの共生と、一言では語られぬ複雑な思いが募ります
地域の農業をどうするか?との視点で、幅広い対策が必要であると同時に、自然に対する畏敬の念を、再度認識する必要があるのではと痛感します。
自然は、過酷で厳しい面もある半面、私達に希望や喜びを限りなく与えてくれます。豊穣の恵みも、技術や科学の進歩のみならず、大半は自然のお陰です。
本来だったら、何百年、何千年もの間、人間の世界には足を踏み込まなかった鳥獣たちが、ここ十年位の間ですっかり人間の世界を犯してしまいました。
尖閣列島や北方領土、北朝鮮の核実験、中国の公害も気になるところですが、日本全国津々浦々において、今まで仲良く接してきた鳥獣たちが人間達に挑んできている実態も、目先のとても深刻な問題で有ると認識し、真剣に向き合う必要が有るのではないでしょうか。
今後も原発に依存しながら、限りなく物質的豊かさや便利さを追い求めるか?少々の不便や貧しさには不平不満を言わず、自然に対し謙虚で心豊かであった過去を振り返ってみるか?
今、貴重な選択が求められているかもしれませんね。
震災以後、日本全国に「絆旋風」が巻き起こりました。
大変歓迎すべきことですが、ガレキの受け入れが拒否されました。
本当に絆を作るには、皆で痛みを共有することだと考えます。
四季の美しい国の「二十四節季」は、エネルギー問題、環境問題、農業問題なども踏まえて、「本当の豊かさとは何か?」について、真剣に考える日でありたいものです。