マナーうんちく話483≪現代の上座と下座②「和室編」≫
日本では昔から、親戚や日頃お世話いなっている人に、一軒一軒、新年の挨拶に出向くしきたりが有りますが、この事を「年始回り」と言います。
本来は、実家や本家、あるいは仲人の家にお邪魔して、互いに元気な顔を合わせて、正月を祝いあったものでしたが、最近は交際範囲が非常に広まって来たので、年始回りも複雑になってきたようですね。
反面、最近の結婚式では仲人の存在が殆どなくなったり、親族付き合いも薄れてきたので、かなり様子が変わってきました。
従って、一般的には、夫婦それぞれの実家や、特に親しくしている人程度でいいと思います。
そして、年始回りをする期間ですが、元旦を避け、2日から松の内までにするのが一般的ですが、仕事の都合が有る人は、3日までに済ませればいいでしょう。
また、ビジネス上の付き合いの場合は、慣例に従えばいいと思います。
さらに、主婦同士の付き合いで有れば、「女正月」の15日が落ち着くかもしれませんね。
ところで、年始回りは玄関先だけでの儀礼的な挨拶が多いようですが、特に懇意な間柄であれば、前もって日時の予約をした方が良いかもしれません。
また、毎年年始回りをしている人は、例年の日時に合わした方が、先方も予定が組めるので助かります。
但し、年始回りには酒がつきものです。
こちらは、玄関先での挨拶だけと思っても、家の中に通され、酒をふるまわれる可能性は十分ありますので、ゆとりのある時間配分をして下さい。
元々、年始回りは、分家の人が本家を訪ねる儀礼的な挨拶が起源です。
つまり、目上の人に出向くわけですから、それなりの挨拶が必要です。
年始の挨拶は、「新年おめでとうございます」、「昨年は色々とお世話になり誠にありがとうございました」、「今年も何卒よろしくお願いいたします」と言う3つの要素が必要になります。
部屋に案内されたら、玄関先での挨拶は簡単に済ませ、部屋の中に入り上記の挨拶を丁寧に行います。
年賀の品を持参しているのであれば、挨拶が先で、品物はその後に渡します。
但し、年末にお歳暮を贈っている人であれば品物は必要ないでしょう。
持参する場合は、「御年賀」として、紅白の蝶結びの水引にして下さい。
その際、「ご挨拶の品でございます。どうぞお納めくださいませ」と言って渡されたらいいと思います。
加えて、年始回りではよくあるケースですが、もし、部屋に入り先客が有れば、先客には会釈程度の挨拶で、主人への挨拶を優先します。
その後、初対面の先客で有れば主人の紹介が有ってから、改めて客同士の挨拶をします。顔見知りであれば直接します。
次に、主人の案内で席を勧められますが、先客より「上座」を勧められるようであれば、「失礼いたします」と丁寧に挨拶して、勧められた席について下さい。
訪問先の上司等に、小学生などの子どもがいる場合には、お年玉が気になるところですが、元々お年玉は親しい間柄に贈るモノですから、目上の人の子どもに現金を渡されるのは感心しません。
無理に渡さなくても良いと考えますが、気になるようでしたら、「ぽち袋」などに「おとしだま」と書かれて、図書券等をされたらいいでしょう。



