マナーうんちく話498≪うかつ謝り≫
前回は手締めの概要に触れましたので、今回は具体的なマナーについて解説いたします。
○一丁締め
1回だけ手を打つのが一丁締めです。
「一本締め」と勘違いされている方が多いようですが、「一丁締め」は、一本締めの変形の手締めだと認識して頂いたらいいと思います。「チョン締め」ともいわれます。格を落としたスタイルですので、こじんまりとした宴会などにお勧めです。
・「お手を拝借します」
・「よー」パン
・「ありがとうございました」で、拍手がパチパチとあるような流れになります。
○一本締め
忘年会や、同窓会などに多い締め方です。
「一丁締め」と勘違いされないようにして下さい。
・「お手を拝借します」
・「よー」パパパン、パパパン、パパパン、パン
・「ありがとうございました」で、拍手がパチパチあるような流れになります。
○三本締め
結婚式、長寿の祝いなど、お目出度い宴会で、盛大に締め括りたい時にお勧めです。来年の新年会にも良いですよ。
・「お手を拝借します」
・「よー」パパパン、パパパン、パパパン、パン
・「よー」パパパン、パパパン、パパパン、パン
・「もう一丁」パパパン、パパパン、パパパン、パン
・「ありがとうございました」で、拍手がパチパチあるような流れになります。
大体以上の流れですが、三回、三回、三回に渡り手を打ち、「九」の数字にして、最後にもう一回打つのは、それなりの理由が有ります。
このコラムでも何度もお話ししましたが、日本では奇数と偶数では、奇数が格上で、奇数の中でも最も格式が高い数字が「九」だからです。
九月九日は「重陽の節句」で、格式の最も高い「九」が重なるから、節句の中では最も格上の節句とされていますが、この理屈と同じです。
そして最後に、「パン」と打ち加えるのは、「九」に一を加えて「丸」にするためだと言う説が有力です。
なお、三本締めは三回繰り返しますが、これは三方を丸く収めると言う意味が有ります。
また「よー」という掛け声は「祝おう」の意味です。
ちなみに、お祭りのお神輿を担ぐ時には、「わっしょい」の掛け声をかけますが、これは「和を背負う」の意味です。
如何にも日本人らしい響きですね。
最後に、職責が上がったり、歳を重ねると共に、手締めを依頼されることが多くなって来ると思いますが、名誉なこととして快く受けて頂き、状況に応じて上記のいずれにするか判断して下さい。
なお、「手締め」を依頼されたら、上記の内どのスタイルの手締めを行うかを説明される事をお勧めします。
さらに、具体的に、締め方の説明が加味されれば、より親切です。
ここに品格が出ます。