マナーうんちく話516≪袖触れ合うも多生の縁≫
皆さんは、介護について考えられたことがおありでしょうか?
日本は世界屈指の「長寿の国」です。
長寿は人類永遠のテーマで、それを達成できたことは、誠にめでたくも有り、また嬉しいことです。
しかし、長寿社会は裏を返せば、高齢者が多い社会で、色々な心配事や不安も多々あります。しかも人類が初めて経験することですから、それに対する指南書は存在しません。
私達が、世界に先駆けて模範を示す必要が有ります。
中でも、避けて通れないのが「介護問題」です。
会後は、遅かれ早かれ、誰しも経験することであり、お世話になることです。
日本人の平均寿命は女性86歳、男性80歳と、世界屈指ですが、亡くなるまで元気な状態ではありません。多少の差は有りますが、平均すれば、男女とも、7年から8年位は介護が必要な期間が有ります。
そして、介護サービスは、「提供する方」も「受ける方」も大変です。
経験しなければ、わからないことが非常に多いのが現実です。
しかも、今後高齢化は益々進展し、さらに、生活習慣病等が増加している中、「介護を受けなければいけない人」は確実に増えると予想されています。
介護は、全ての人にとって、とても身近な問題であることを認識して下さい。
ところで、このような状況下で、介護についての認識と理解を深め、要介護者及び、介護に携わる家族を支援すること等を目的として、11月11日は「介護の日」と定められました。
介護を身近に捉え、それぞれの立場で介護を考え、介護に関わってもらうために、語呂合わせの良い、しかも覚えやすく親しみやすい、11月11日になったわけです。
介護の必要もない人も、介護に関わっていない人も、「超高齢社会」の一員として、介護に関心を抱くことは、とても大切だと認識していただいたら、それに対する備えも必要です。
どの分野でもそうですが、介護の世界にも、様々な問題があります。
中でも、人と人とが、朝も夜も一日中、休むことなく接するところですから、人間関係が特に問題になります。
介護を、「提供する人同士」の人間関係、「提供する人」と「受ける人」との人間関係、「受ける人同士」の人間関係等など。
これらが全て円滑にいくのが理想ですが、現実的には、トラブルが大変多いようです。
そして、これらを円滑にするのが「マナー」です。
特に注意して頂きたいことは、このコラムでも何度も申しましたが、介護サービスを「受ける人」と、介護サービスを「提供する人」の間には、上下関係は存在しないということです。
介護サービスを提供する人はプロです。
介護に関する、知識もスキルも有ります。さらに「思いやりの心」も兼ね備えていますが、「受ける側」のマナーが欠如していたら、心が通いません。
介護を受ける人も、素敵なマナーを発揮して頂きたいものです。
そのためには、要介護者になってから、マナーの大切さを認識しても遅すぎます。元気なうちから、日常生活で発揮することが大切です。
介護施設から色々な問い合わせを受けますが、介護サービスに携わる人と、介護サービスを受ける人の両方のマナー研修の依頼はまだありません。
しかし、施設を本当に良くするために一番大切なことだと思います。
モノやサービスを、「売る側」と「買う側」には、基本的に上下関係が存在しないことを、全ての人が理解すれば、多くの人のストレスが緩和されます。それができるのがマナーです。