マナーうんちく話494≪和顔愛語≫
「感じが良い人」の条件④「身だしなみのマナー」
江戸時代頃の日本は、公家、武士、職人、商人、百姓等それぞれの身分に応じた特有のファッションがあったため、明治以降、身分制度が廃止され、服装を統一する時に、大変手間だったいきさつがあるようです。
当時は、物質的には今と比較になりませんが、それぞれの世界で、それなりの規律があり、暑くても寒くても、先ずその規律を守ることに価値観が置かれていたようですね。
それが今では、モノが豊かになり、服装もファッションを楽しむとともに、「クールビズ」とか「ウオームビズ」とかのせいで、議会でも、教育の現場でも、ビジネスの現場でも、誰でもラフな服装が可能になりました。
ところで、初対面の人と接する時には第一印象はとても大切ですが、それは見た目や会話や態度から総合的に判断されます。
中でも、「身嗜み」等の外見はとても大切です。
そして、身嗜みが良ければ、その人は「礼儀正しく誠実な人」と思われ、その後、なにかと有利に展開します。
「人は見た目ではなく内面が大切だ!」と言われます。しかし、その人の内面は、時間をかけしばらく付き合わないと解りません。
外見が良ければ、誠実な感じを受けるので、外見は内面を映し出す判断基準になると認識して下さい。昔から「姿は俗性を表す」といいます。
身なりや、ちょっとした立ち居振る舞いで、その人の品格が解ると言う意味です。
ちなみに、「身嗜み」とは、相手に不快感を与えないように身なりを整えることです。クールビズやウオームビズのファッションが個性を表現するとすれば、身嗜みは相手を尊敬することで、そのポイントは「清潔」「調和」「機能性」「控えめ」です。
清潔感が漂い、誰が見ても上品で調和がとれていて、地味でなく控えめで、相手に派手な印象を与えず、なおかつ仕事がしやすい機能性を有していることです。それに前回お話しした、健康的で美しい姿勢が加味されれば最高です。
少し硬すぎた表現になった感がありますが、要は、身嗜みとは、相手がどのように思うかです。
すなわち、母親の身嗜みは子どもがお母さんの服装をどう感じるかです。
教師の身嗜みは生徒がどう思うかです。
サービス業に携わる人の身嗜みはお客さんがどう感じるかです。
感じ方・思い方は10人10色ですし、細かな決まりは有りませんので、職場単位で統一的な基準を設けられることをお勧めします。これがないとバラバラになり、時として相手に不快感を与えることになります。
只今クールビズ全盛ですが、大切な交渉事では長袖にスーツ着用をお勧めします。
例えば、お詫び会見などの時には、やはりスーツにネクタイ着用、それに心のこもった正しい挨拶が必要です。
大切な交渉事しかりです。
世界中どこでも、身分が高い人は色々なモノを見に纏い、身分の低い人は腰巻を蒔いた程度の服装で日常生活を送っていますので、心理的効果は大きく異なりますよ。
また、大切な行事やパーティーなどに参加する時の、服装のルールを「ドレスコード」といいますが、それなりの場に出向く時には、例え客の立場でも守らなければいけない服装がありますのでご注意ください。
さらに、身嗜みを整えるのは、若い人もそうですが、年配者も必要です。
爽やかで、清潔で、品の良い感じは、年配者こそ大切にしたいものです。
「人の振り見て我が振り直せ」。昔の人は素晴らしいことを言っています。