マナーうんちく話717《家庭や地域で支えたい子どもの門出》
親に身に付けて頂きたい「こどもの未来を明るく照らすマナー④」
私は「内閣府食品安全委員会食品安全モニター」及び、「倉敷市食育推進会議委員」をそれぞれ2年間経験しましたが、日本は、食の「安心・安全」に関してはとても敏感だと感じました。
食の安心・安全に関して、大変有能な学者が多く存在しますし、法律や制度もいき届いていると思います。恐らく世界でもトップクラスではないでしょうか。素晴らしいことだと思います。
「食育」に関しても非常に前向きです。
知育・体育・徳育に加え、平成17年には「食育基本法」が制定され、子どもたちが、食に関して正しい知識を身に付け、理想的な食習慣になるよう、熱心な取り組みがなされております。
そして、何度も書きましたが日本は、世界一の「飽食の国」で有り、「美食の国」でもあります。料理番組や料理本等、料理に関する情報も氾濫過ぎる位あります。また、食料自給率は先進諸国の中でも最下位クラスですが、食材は大変豊かです。このような環境で生活できることに、感謝・感謝です。
それでは、日本人の食生活はさぞかし豊かだと思われるでしょうが、実は豊かなのは、種類・量・カロリー等だけです。
食べ方が悪いから、ミネラルやビタミン類や食物繊維は不足しています。
いわば、今の日本人は、食べ物の量・カロリー・種類・色は多く摂取していますが、逆にビタミン・食物繊維・ミネラルは不足し、決してバランスの良い栄養状態ではない現象が多々みられます。
今、地球上では約10億人の人々が、食べ物や飲み物に大変不自由しており、恒常的栄養失調に陥っていると言われております。
終戦直後は、日本でも、食べ物に困り、飢えや栄養失調が蔓延しました。
当時はカロリーそのものが不足する栄養失調でしたが、今はビタミン・ミネラル等の不足による栄養失調が見受けられます。
原因は、加工食品・インスタント食品、レトルト食品、ペットボトル、清涼飲料水等からの、砂糖や脂肪の取り過ぎではないでしょうか?
勿論これらは、安価で、手軽で、美味しく、保存性も有りで、利点は大いにありますが、不必要に依存するのはどうかと思います。
さらに孤食・個食・固食現象、加えて、不摂生な生活による「朝食の欠食」、偏食等が考えられます。これでは、子どもの健全な発達に支障をきたします。
最近の研究では、バランスの良くない栄養状態は、キレル子、イジメに走る子等の大きな原因になっていることが明らかになりました。
また、加工食品等が増えれば、食卓における「心と心の交流」も少なくなる恐れも有ります。つまり「団欒」が少なくなります。
日本の食事情は、何から何まで恵まれ過ぎています。
しかし、食生活に問題がある家庭も少なからず存在しています。
「食べることへの認識の低さ」だと私は思っています。
「食べることは生きること」です。
だから、もっと、もっと食べることを大切にして頂きたいと痛感しています。
人それぞれ、事情は有ると思いますが、出来る限り、育ち盛りの子供には、工場で作られた食べ物や飲み物より、家庭の台所で作られた、愛情いっぱいの、食べ物や飲み物がお勧めです。これだけでも家族の絆はできます。
コンビニやスーパーやデパートの総菜は美味しいです。綺麗です。手軽です。でも、これらはお金で買える味です。
お母さんの愛情が詰まった料理は、お金では買えません。
このような料理を食べて育った子供は、例え、問題児になっても、また元の鞘に収まると言います。これが「おふくろの味」の力です。
共働きの場合の手料理は何かと大変ですが、家族の、健康や絆づくりのための努力は、必ず報われる!と信じてやみません。