マナーうんちく話282≪MOTTAINAIとマナー≫

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:日常生活におけるマナー

日本が世界に誇る文化でありながら、日本人自身がその素晴らしさを世界に向けて発信できずに、逆に外国の人から改めて認識されられるモノがあります。

「もったいない(MOTTAINAI)」はその典型的な例ではないでしょうか?
この言葉は、親日家であり、2004年にノーベル平和賞を受賞された、ケニアのワンガリ・マータイ博士により世界に発信された言葉です。

そして今、その言葉は小学生にも理解されていますが、その意味は、Reuse(再利用)、Reduce(ゴミの削減)、Recycle(再資源化)に集約されているようです。

確かに、循環型社会を目指すに当たり、この「3R」はとてもいい響きです。
さらに、昨年の大震災以来、資源に関する諸問題を、より身近に感じるようになり、「3R」は着実に進展している気がします。

節電に励み、鉄くずを再利用し、ペットボトルを回収したりする取り組みが、日常生活の中で実践されていることは、大変素晴らしいことだと思います。

でも、この「もったいない」の本質的な意味は、もっと他に存在しているのでは?と私は思っています。

「もったいない」は、ただ単に、ゴミを削減し、再利用することのみならず、もっと、もっと、深い意味が込められているのではないでしょうか?

その典型的な例が、食前、食後に発する、「いただきます」と「ごちそうさま」の言葉の意味です。

「自分の命を長らえるために食材となる命を頂くことへの感謝」、さらに、その食材、すなわち、「卵や鶏や牛や豚を育ててくれた人」、「魚を取ってくれた人」、「野菜を育ててくれた人」、加えて、「料理を作ってくれた人」、「その料理をサービスしてくれる人」、「料理を盛る器を作ってくれた人」たちへの感謝を意味する言葉であります。
加えて、作物が育つための太陽や水など、自然にも感謝する心を意味します。

だから、「食べ物を粗末にする」ことは、最も、MOTTAINAI精神に背くことになります。
「MOTTAINAI=生きる根源である食べ物を粗末にすること」ですね。

だから、食料自給率が39%と、先進諸国では最下位の日本人が、食品廃棄物、いわゆる残飯を世界で一番多く排出していることは、大いに反省の余地があるのではないでしょうか?

世界に誇る「素晴らしいマナーを有する国」、そして世界で一番の「飽食の国」、世界で一番の「美食の国」日本が今、世界で一番マナー違反をしているような気がしてなりません。

フランス料理が、ユネスコの世界文化遺産に登録され、それに続き、日本の和食が今年の春、登録申請されましたが、和食の特徴は、フランス料理の美味しさ、社交性、絢爛豪華さに比較して、食前・食後の「感謝の言葉」に見られるような、「精神文化」に大きな特徴があります。

日本ではすっかり死語になった、「MOTTAINAI」を復活して下さったマータイ博士に感謝するとともに、その根源をなす和食の精神文化を、さらに、家庭や食育等に生かしていただきたいと思うわけです。

最後に、マータイ博士は「人は自然に対し、より謙虚になれ」と述べておられます。ジーンとくる言葉ですが、これぞ、長い間日本人が最も大切にしてきた、マナー精神ではないでしょうか?

いくら「3R」が進展しても、「食べ方」、すなわち、感謝の心で、姿勢を正し、美味しく、好き嫌いなく、残さず、美しく食べ、全体的に食品廃棄物を減少する取り組みがなされない限り、根本的な解決にはならず、ここから多くの矛盾が発生します。

「MOTTAINAI」の続きとして、「自殺」、「いじめ」についても触れてみたいと思いますが、その大きな要因は、食べ方に有る気がしてなりません。

家庭における、「賢い食べ方」と「テーブルマナー」の大切さを、再認識する必要がありますね。



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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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