マナーうんちく話521≪お心肥し≫
当分、梅雨が明ける気配は有りませんが、今年も半分過ぎて、いよいよ7月・文月(ふづき・ふみづき)ですね。
残りの6ヶ月間も、益々充実して過ごしたいものです!
ところで、「文月」の語源は、詩歌や字を書き、文章や書道の上達を祈念した、「七夕の行事」にちなんだものとする説が有力ですが、7月は異名を、「女郎花(おみなえし)月」ともいいます。
「女郎花」は、夏から秋にかけて咲く黄色の小花ですが、眺めたり愛でたりして楽しむ、「秋の七草」の一種で、万葉集や源氏物語にも登場する、日本人には大変なじみの深い花です。
「オミナエシ」の「オミナ」とは美女と言う意味で、「エシ」は「圧し」とか「減し」の意味です。すなわち、女郎花が余りにも美しいので、美女の美しさが、圧倒されるとか、減少すると言うことです。
このコラムでも、「牡丹(ボタン)」「芍薬(しゃくやく)」「百合」「菖蒲(あやめ)」「杜若(かきつばた)」等が登場しましたが、日本人女性の美しさは、様々な花にたとえられています。
オミナエシもその意味では、勝るとも劣らぬ花ではないでしょうか?
花言葉は、「美人」「親切」「儚さ」ですが、解熱作用のような薬効もあります。
女性に例えれば、まさに「淑女」や「セレブ」ですね。
ちなみに、セレブとは、1990年の終わり頃から、有名人、著名人、ブランド品をまとっている人を意味するようになりましたが、本来の意味は「Celebrity」で、単に有名とか、お金持ちだけでなく、それに「社会のために役立つ」と言う要素が加味されるようです。
すなわち、「淑女」とか「セレブ」とは、気品、教養を身に付け、何事にも常に前向きに取り組み、自分も輝き、周囲の人をもハッピーにすることができる人ではないでしょうか?
単に、お金が有るから、ブランド品を沢山身に付けているから、社会的地位が高いからだけでは無理なようです。
本当の意味で「淑女」と言われるためには、豊かな心を持ち、気品と教養を兼ね備え、さらに思いやりの心(社会貢献)を視野に入れることが大切だということです。
モノに敬意を抱き、モノを見る目を養い、自分をわきまえることも必要だと感じます。
さらに、身も心も美しく保たなければなりません。
淑女にとって、外見はとても大切です。
外見に自信が持てれば、心が前向きになります。
そしてその勢いで、内面にも磨きがかかります。
ぜひ、素敵な「礼儀・作法」を身に付けられることをお勧めします。
これは、古今東西、同じではないでしょうか?
そして、このコラムで常にお話ししていますが、「形」ばかりに、こだわることなく、その「合理的な理由」を追求して頂きたいものです。
この合理的な理由を、キチンと理解できなければ、本当の美しさや、思いは伝わらないと思います。
例えば、「なぜ明るい挨拶が必要なのか?」、「なぜ香典の表書きに御霊前と書くのか?」、「なぜ箸を正しく持たなければいけないのか?」、「なぜ、つまらないモノですが、と言って贈り物を渡すのか?」、「なぜ一枚で済む便箋を2枚にするのか?」、「なぜ握手をする時には相手の目を見るのがマナーなのか?」等などです。
ここがとても大切な所です。
次に、これらをキチンと理解したら、今度は実践あるのみです。
礼儀・作法はある意味では、精神文化です。
「質草」にはなりませんが、時代がいかに変わろうとも、人生をこの上なく豊かに彩ってくれます。
人間として、常に普遍的な意味を持つ「礼儀・作法」をみにつけることこそ、淑女の条件だと思うわけですが、戦前の「良妻賢母教育」に、そのヒントを探るのもお勧めです。