マナーうんちく話257≪日本人と箸≫

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:和食テーブルマナー

問題1 地球上には約70億人が住んでいますが、その70億人の食事方法は、大きく分けると、「手食」と「箸食」と「フォーク・ナイフ・スプン食」があります。では、このうち一番多いモノはどれでしょうか?

問題2 箸を正しく持てますか?
では、お椀と箸。先に持つのはどちらですか?

問題3 4人で居酒屋に行きました。それぞれ一品料理と共に刺身の盛り合わせを注文しました。この時、刺身の盛り合わせには取り箸が付いていなかったので、自分の箸を逆さにして使いました。これどう思いますか?


日本人の毎日の食事に欠かせない箸。
2年前に、「箸は人生の杖」というタイトルでコラムを書きましたが、日本人に
とって、箸は日常生活に置いて一番身近な存在ではないでしょうか。
そして、箸は日常生活のマナーの原点だと思います。

長年ホテルで食に関する仕事に携わり、そして今はマナー講師としてお話をす
るにつけ、箸に対する認識が乏しいことと、正しく箸が使えない方が意外に多
いことに驚きます。

しかも、この傾向は、子供や学生や若者に限らず、年配の方も含めすべての年
齢層に及んでいます。
ここが大きな問題だと深刻に受け止めています。

日本の食料自給率は、先進諸国中最下位の39%ですが、世界一の「飽食の国
」であり、世界一の「美食の国」です。

だから、料理に関する書物も多く見かけます。また、テレビでも料理番組は実
に豊富ですが、その際、器や箸使いに首をかしげたくなるシーンがあります。
公共性が高いだけに、残念な気がします。

このように、今の日本では、自国のマナーの基本である「箸に関する知識やマ
ナー」を正しく教えられる人が大変少なくなってきております。

戦前までは、女学校などで、躾の基本として、教育方針の一環として、取り入
れられたものが、戦後行われなくなったので、無理のないことだと思います。

しかし、この状態は、どう考えてもよろしく有りません。
また、単に、箸の持ち方を指導するだけではいけません。

「箸」とはいかなるもので、「なぜ?正しく箸を持つことが大切か?」、という
理由をキチンと教えることが必要です。

「なぜそうなるのか?」。
そのプロセスを理解することが何より肝心です。なぜなら、そこに日本人なら
ではの、心意気が凝縮されているからです。

箸に対する背景や思いに触れる心遣いが有って、大きな共感が得られると思い
ます。要は頭ごなしに理解させるより、納得してもらうことですね。


このコラムでも何度も触れてきましたが、今、学校の現場では、いじめや校内
暴力、不登校が大きな課題になっています。
若者の間では、今まで経験したことのない「新型うつ」が問題になっています。

日本は今、豊かで便利な時代になって来たが、若者の生きる力は希薄化してい
る気がします。家庭における親の「しつけ」が問われます。
その親のしつけの原点が幼い頃からの「箸使い」に有ります。

先ず、日本人にとって、箸は、生まれて死ぬまで縁の深いもので、正しい知識
と扱い方が必要だとの認識が大切です。

例えば、生後間もない「箸揃え」「箸始め」の儀式から、亡くなった時の「箸渡
し」の儀式まで全て大切な意味が有ります。

7月に倉敷市市民学習センター主催の「和食のテーブルマナー講座」でこのよう
なお話をいたします。詳しくは「セミナー・イベント欄」をご覧ください。
問題の解答は次回の「箸に関するクラム」で取り上げます。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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