マナーうんちく話516≪袖触れ合うも多生の縁≫
日本語には、「同じ釜の飯を食う」とか、「同じ(一つ)屋根の下で暮らす」等という表現が有ります。家族での暮らしや、あるいは家族同然の生活を意味しますが、それは、裕福ではないけど暖かい血の通った幸せな家族像です。
近年、家族、親族、地域、職場における人間関係が希薄になり大きな社会問題になっておりましたが、昨年、未曽有の大災害を経験して以来、にわかに「絆」再生の声が高まって来たのはご承知の通りです。
先人が築いてきた、「和の精神」が蘇り、共に助け合い・支え合う社会が復興しようとしていることは大変望ましいところです。
復興への道のりは決して容易ではありませんが、地道な努力あるのみだと思います。
そして、津波、地震、さらに放射能汚染から立ち直り、明るい光が見えてくるまで、10年・20年要するのか、30年年先になるのかはっきりわかりませんが、その時の日本を支えていくのは今の子どもたちです。
従ってその子どもたちが互いに、思いやりの精神を発揮し絆を深めるようにするために、今から総合的な人間力を育むことが大事だと感じます。そのために今、家庭でマナーを、親が子どもに躾けることをお勧めします。
学校では教師が基礎教育を教えますが、家庭では親がマナー教育を施すことが理想です。
欲を言えばきりが有りませんが、今回は家庭で、親が子どもにキチンと躾けて頂きたい、3つの基本的なマナーに触れてみます。
○食卓におけるマナー
家庭の食卓は社会の基本ではないでしょうか?
子供の健全な成長に必要な、旬の味わい、バランスの良い栄養、暖かいコミュニケーション、さらに社会生活の原点になる多様なマナーを学ぶ場所です。
しかし最近、家庭での食卓が乱れており、諸悪の根源になっている気がします。
そこで、再度「食卓の在り方」を考えてみられては如何でしょうか?
具体的には次のような事をお勧めします。
・食卓をきれいにして下さい。要は家族が安らぐ環境づくりです。これが基本です。
・家族が出来る限り食卓に揃うよう心がけて下さい。これも基本です。
・姿勢を正して下さい。大人も子供もこれはとても大切なことです。正しい姿勢はあらゆる効果が期待できるとともに、子どもにとってはストレス教育にも繋がります
・食前・食後の感謝の言葉、「いただきます」「ご馳走様」を発して下さい。
できれば、それらの意味もキチンと教えて下さい。
・「箸置き」は出来る限り用意し、箸を正しく持って下さい。
箸を正しく持つことは、「姿勢が良くなる」「料理をきれいに食べる」「食べ残しが無くなる」「好き嫌いが無くなる」「感謝の気持ちが育まれる」「脳に良い」等多くの効果が期待できます。また箸を正しく持てる子には、いじめに走る子が少ないという調査結果も有ります。
・食事のスピードを皆と合わせる。これはとても大切です。他者に対する「思いやりの心」が育まれます。
・楽しい会話に心がけて下さい。これはコミュニケーションの基本です。
・たまには「大皿料理」等も用意し、自分で取り分ける練習をさせて下さい。
※詳しくは「マナーうんちく話《和食のマナー》」を参考にして下さい
○履き物のマナー
日本は、欧米諸国と異なり、家の中では履き物を脱ぎます。従って日本では昔から、「箸の持ち方」と同様、「履き物の脱ぎ方」にはとても敏感でした。
「箸の持ち方」と「履き物の脱ぎ方」は共に今でも、「お里が知れる」と言われます。
是非、正しい履き物の「脱ぎ方・揃え方」を指導して下さい。
さらに、乱雑になっている履き物をキチンと揃えるようになれば、「思いやりのある子」になります。
※詳しくは「マナーうんちく話《訪問のしかたのマナー》」を参考にして下さい。
○笑顔の挨拶のマナー
皆さんのご家庭では、家族間で挨拶が有りますか?
本来なら、どこの家でも明るい挨拶が交わされるのが理想ですが、私が色々と感じる限りでは50%以下です。恐らく、これが日本の家族の現状だと思います。
挨拶はコミュニケーションの基本の基本です。一番大切な家族間で、円滑な挨拶が出来なければ、他人に対してもスムーズにできません。また大切な家族には、自然に笑顔になれます。ぜひ、笑顔を添えて、挨拶をして下さい。
以上、決して特別な知識やスキルが必要ではありませんが、先ず、親が子に「良き模範」を示さなくてはいけません。「こどもの日」の最良のプレゼントです。