マナーうんちく話604≪武士は食わねど高楊枝≫
5月に入り早くも「クールビズ県民運動」がスタートしました。
10月末まで続くそうです。
日中の最高気温が、25℃以上の日を「夏日」、30℃以上の日を「真夏日」、そして35℃以上の日を「猛暑日」もしくは「酷暑日」と言いますが、5月5日は「夏が立つ」日です。
夏が立つ日、すなわち二十四節季の一つ「立夏」で、「夏になったよ」という意味です。
この頃になると、大地は草で覆われ、山々の木々は繁り、そして啓蟄の頃に目覚めた蛙が泣き始める頃でもあります。
加えて、心地良い風が吹き、晴天が続き、アウトドアを楽しむのにもってこいの頃で、子ども連れの観光客がピークを迎えます。
そして、5月5日は「端午の節句」であり、「子どもの日」でもあります。
初夏のすがすがしい陽気と共に、子どもの未来が祝福できて最高の日ですね。
子どものいる家庭では、プレゼントを用意したり、ご馳走を作ったり、家族ぐるみで旅行したり、あるいは、ちまきを食べ菖蒲湯に入る人も多いと思います。それらについては、2011年5月3日の「マナーうんちく話72《なぜ鯉が空を泳ぐの?》」を参考にして頂くとして、今回は、「子どもの日」を、従来より異なる視点でとらえてみたいと思います。
「かわいい子には旅をさせよ」という諺をご存知でしょうか?
同じような諺が動物の世界にも有ります。
「ライオンは子を谷底に落とす」です。
いずれも、「子供を甘えさせて育てるより、辛いことや苦しい事を経験させた方が良い」という意味です。
要するに、「かわいい子供をハッピーにするためには、好きなものを与え、したい事をやらせるより、子どもが幸せになれるための習慣・知識・スキル・方法等を教えた方が良い」という意味です。
この「かわいい子には旅をさせよ」という僅かな言葉には、子育てや教育に携わる大人が学び、実行しなければならない、尊い教えや知恵が凝縮されていると思います。
特に、子どものいじめや不登校が、全国でも最悪レベルにある、岡山県の大人に参考にして頂きたいものです。
もともと日本は昔から、「親が子どもを大切にする国」だといわれております。
万葉集に、「白銀も小金も玉もなにせむに まされる宝子にしかめやも」という、奈良時代を代表する歌人、山上億良の短歌があります。
「いかなる金銀財宝も子宝にはかなわないよ!」という意味ですね。
「子どもの過保護」が社会問題になって久しいですが、「子供をかわいがる」ことは、今も昔も変わらないようです。とても尊いことです。
しかし、「不登校」「いじめ」「校内暴力」「自殺」等は感心できません。
さらに、電車内・ストア・レストランなどにおいて、子連れのお母さんの信じられないような光景に出くわすことも、最近特に多くなってきた気がします。
子どもへの過保護、それでいてマナー無視の親が増加傾向にある気がしてなりません。
皆さんは如何でしょうか?
日本は、67年間戦争にも無縁で、物質的にも大変恵まれ、教育水準も非常に高い国なのに、このような状況下にあるとは、なんとも勿体ないことです。
勿論、相対的に立派な親も多く存在しますが、概して、日本の親は子供に甘いようです。
甘えかして可愛がることを「猫可愛がり」といいますが、少子化になり、そんな傾向が特に強まっているようです。
そのようにして育てられた子供が、本当に幸せになれるのでしょうか?
キャリア教育やマナー指導を通じ、多くの学生と接して、そのような思いを強めています。
そこで、「こどもの日」にちなみ、可愛い子どもを将来幸せにするために、家庭でマナーをしっかり教えることをお勧めします。
子どもが学校を卒業して、社会人として立派に自立できるか否か?全ては親にかかっていると言っても過言ではないと思います。
ナポレオンは「子どもの運命は全て母親に委ねられている」といっています。
幼い頃からのマナー教育は、親が子供にしてあげられる最大最良のプレゼントです。
次回に続きます。