マナーうんちく話535≪五風十雨≫
あかりをつけましょ 雪洞(ぼんぼり)に お花をあげましょ 桃の花
五人ばやしの 笛太鼓 今日はたのしい ひなまつり
ご存知、ひな祭りの歌ですが、正式な曲名をご存知でしょうか?
「うれしいひな祭り」です。
ひな祭りは女の子の健やかな成長を祈念する年中行事の一つですが、別名「桃の節句」ともいわれます。三月三日になぜ「桃」なの?と疑問に思われる方も多いと思いますが、桃の節句とは「旧暦」に基づいているからです。すなわち、今のひな祭りが、旧暦では桃の花が咲く頃に行われていたからです。
更に詳しく解説します。
明治に入り、日本は西洋諸国から多くの文化を取り入れましたが、暦も例外ではありません。明治5年12月2日に、明治新政府はそれまで使用していた「旧暦」から、西洋諸国にマッチした「新暦」を採用し、12月2日が過ぎると、次の日は、いきなり明治6年1月1日に移行したわけです。ここに旧暦と新暦の間に、約一月間のギャップが生じたというわけです。
勿論旧暦は、それまで日本人が1000年以上も使用してきた暦で、生活のリズムが全て刻まれており、新暦にも随所に渡りその面影がのこっています。
ちなみに、今のお雛様は、男雛、女雛を中心とした人形を飾り、桃の花を供え、白酒を飲んだりする、楽しいお祭りですが、今のように派手になったのは江戸末期の頃だと言われています。
そして、ひな人形の「飾り方」は、地方によりまちまちで、これでないといけないという決まりは有りません。ただ、段飾りの段は、既にお話ししましたが、奇数を吉とする考え方に基づき、3段、5段、7段飾りがお勧めです。
加えて、「いつ飾るの」がいいか?ということですが、実はこれが《マナーうんちく話202》の、「二四節季の一つ[雨水]の日にして頂きたいこと」の答えです。
「雨水」は、厳しい冬から春へと向かうとても縁起のいい日ですので、この日に、「お雛様を飾ると女の子は良縁に恵まれる」という言い伝えが有ります。
次に、「雨水」の日に飾ったお雛様を「いつしまうの?」という疑問が浮上しますが、お雛様をしまう日は、「雨水」の次の二十四節季、「啓蟄」の日だとされています。今年は三月五日です。
ただ、これでは飾る期間が余りにも短すぎると思われたら、飾る日を、二月上旬の大安の日の午前中にされるのも良いと思います。
お雛様を飾るのが普及した江戸時代後期からすると、時代は大きく変わり、結婚観も多様化して、結婚も選択肢の一つに数えられるようになりました。しかし、女性にとっても、男性にとっても、「幸せな結婚」が人生を豊かにしてくれることは変わりません。
異性の交際相手がいない18歳から34歳までの未婚者が、男性61%、女性49%との国立社会保障・人口問題研究所の調査結果もあります。さらに同研究所の分析では、単身で暮らす20歳から64歳の女性の、3人に1人が「貧困状態」にあるそうです。
美しく飾られたお雛様を眺めながら、結婚について真剣に考えてみるのもお勧めです。
西洋の「バレンタインデー」も、日本の「お雛様」も、その原点は「幸せな結婚」にあるような気がします。
「幸せな結婚」をゲットするには、ひとえにマナーを磨くことだと思います。