マナーうんちく話535≪五風十雨≫
マナーうんちく話171《Xマスとサンタクロース伝説》
今年もクリスマスの季節がやってきました。
寒風の吹く夜、背中を丸め、ポケットに手を入れて眺めるクリスマスのイルミネーションには、街の元気さや人の温かさが感じられます。
日本は神様・仏様、すなわち神道と仏教の国ですが、世界で一番早くから、そして盛大にクリスマスイベントを実施する国だそうです。
そういえば、今年で10周年を迎えるユニバーサル・スタジオ・ジャパンの「ユニバーサル・ワンダー・クリスマス」がスタートし、ギネスにも登録された、世界一の光のツリーがお目見えしたという記事が掲載されていましたね。
クリスマスイベントが、明治以降に日本に普及したことはご存知の通りですが、ここまで盛大になったのは、デパート等の販売戦略が功を奏したからだと思います。
昔からの冠婚葬祭行事も、今では戦略的に企てられたものも結構存在します。
ところで、クリスマスと言えば、元々イエス・キリストの誕生日なのですが、それではなぜ、「サンタクロース」という人物が登場するのでしょうか?
サンタクロースという人は、4世紀頃、東ローマ帝国の司教であった聖ニコラウスがモデルになっているという説が有力です。
裕福なキリスト教徒の家に生まれた彼は、やがて司教になりました。
そしてある日、娘を見売りしなければ食べていけない非常に貧しい家に行き、こそーと、その家の煙突からお金を投げ入れたところ、そのお金(コイン)は煙突を伝わって、煙突の下に干してあった子どもの靴下の中に入りました。そのお金で、その家は娘を売らなくて済んだという言い伝えが有ります。
クリスマスには、サンタクロースが煙突からやってきて、靴下にプレゼントを置いてくれると言われているのは、そこに端を発しているようです。
そういえば幼い頃、年末の大掃除をする際に、クリスマスプレゼントを期待しながら、笹で作った箒(ほうき)で煙突掃除をよくしたものです。
さらにクリスマスには「クリスマスツリー」がつきものです。
では、そのクリスマスツリー、なぜ「樅の木」なのでしょうか?
樅の木は、ヨーロッパでは不滅のシンボルとされ、永遠の命を表します。
樅の木に神様が宿り、無病息災や豊作の願いを込め、色々と飾り付けをしたのが始まりです。それに、杉やヒノキは数日で葉っぱがぽろぽろ落ちますが、樅の木は長持ちします。
ちなみに、日本の神様は「松の木」にご縁が有りますが、松の木も丈夫で長持ちします。
日本の「正月」と、ヨーロッパの「クリスマス」には、歴史的な接点を見出すことはできませんし、キリスト教と神道・仏教の信仰の在り方も大きく異なります。
しかし、豊作や無病息災を祈念する気持ちは古今東西変わりません。
それにしても、クリスマスも正月も両方楽しめる日本は、本当に平和で豊かな国だと感じます。そのような国で生まれ、生活できていることに、改めて感謝!感謝!です。