マナーうんちく話106≪真に魅力的な人とマナー≫

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:人間関係を良好にするマナー

例えば、その人がそこにいるだけで、その場が明るくなったり、雰囲気が和らいだり、あるいは思わず見とれてしまったり・・・。そんな魅力的な人に、33年間のホテルマン生活を通じ多々出会うことができました。そして多くのことを教わりました。感謝!です。

人にとって、外見的な魅力はとても大切です。だからいくら暑くても、「クールビズにすればいいものではない」と申しました。しかし、場を明るくしたり、和やかにしたりするには、内面的な魅力も加味されなくてはいけません。

そこで今回は「内面的な魅力アップ」のお話です。
内面的な魅力をアップする最適な方法として、素敵なマナーを修得する事をお勧めします。
何度も申しますが、マナーとは「思いやりの心」「感謝の心」「尊敬の心」と、それを「言葉や態度で表現したもの」です。そして、その表現の仕方は、その国々の歴史、風土、国民性、宗教等により異なります。また不易流行的側面も有しています。

今、巷にはマナーの本がたくさん出回っています。どちらかといえば「学生のため」「新入社員のため」「若い女性のため」に書かれた本が多いようです。
しかし、マナーは先ず、指導的立場に有る人、教育に携わる人、子育てに携わる人、経営に携わる人等が身につけるべきものです。
日本でも西洋でも、上位者から下位者に広まっています。

加えて、「形」の前に「心」ありきです。
「形」には、なぜそうなるのか、合理的理由が例外なく存在します。
これを正しく理解し、実行に移すことが理想です。
それが出来る人が、今回のテーマである、真の意味での「魅力的な人」だと思います。

○食事の時、なぜ「頂きます」「ご馳走様」というのか、なぜ「箸を正しく用いる」必要があるのか?
○人と会う時、なぜ「化粧」しなければいけないのか?
○人と会った時、なぜ「挨拶」しなければいけないのか?日本人はなぜ「頭」を下げるのか?西洋人はなぜ「握手」をするのか?そしてそれらの挨拶にはどんな意味が有るのか?○結婚式の時、なぜ「オメデトウ」と言うのか?なぜ「玉串」を奉奠するのか?
○葬式の時、なぜ「香典」を包むのか?なぜ「黒い服」を着用するのか?
○電車に乗っている時、なぜ「化粧」してはいけないのか?
それらの「なぜ」を理解することが大切です。
「皆がしているから私もする」ではなく、「こういう理由だからこうする」というのが本来あるべき姿だと思います。

この意味を理解しないで、形にばかり捉われていたのでは本末転倒です。
しかし、これらの意味を一つ一つ理解し実行に移せば、人間に深みが出てきます。
上に立つ人や指導的立場に有る人はこうでなくてはいけませんね。

ちなみに、普段何気なく使っている「今日は!」という言葉が有ります。これは、本来は「今日はご機嫌いかがですか」と言うべきところを、短縮して「今日は」としています。従って、この意味を理解したうえで、率先して笑顔で挨拶が出来れば、挨拶に心がこもるし、その人の人間的魅力が増してきます。

ついでにもう一つ。「畳の縁を踏むな!」。この真の意味お分かりですか?
マナーは「思いやりの心」だと申しました。畳の縁を踏むな!は命令口調です。思いやりの心ではありませんね。
実は、昔は名門の家ほど畳の縁は家紋を施したり、綿を敷きつめたりで、今よりかなり高かったそうです。そしてその当時、モノを運ぶ時には、相手により、持ちあげる高さが決められていました。腹の高さ(腹通り)、乳房の高さ(乳通り)、肩の高さ(肩通り)、目の高さ(目通り)まであげるように・・・。

この家の主人の食事は、お女中が「箱膳」をうやうやしく目の高さまで上げた状態で運んできますので、前が良く見えません。高く盛り上がった畳の縁でけつまずく恐れがあります。だからそれを注意するために作られたのが本意のようです。他に諸説ありますが。

結論です。一つ一つの礼儀の意味を理解し、それを正しく表現できる人こそ、皆から信頼される本当に魅力的な人であり、教養人です。また幸せを運んでくれる人でもあります。
皆さんの周りには、どんな魅力的な人がいらっしゃいますでしょうか?

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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