マナーうんちく話553≪「和の作法」と「一回一動作」のお勧め≫
マナーうんちく話90《懐紙の優雅な使い方》
食事のマナー15、「気軽に懐紙を利用されることのお勧め」
「懐紙」をご存知でしょうか?
では、今までお使いになられたことは?
懐紙とは、奉書紙を重ねて二つ折りにしたものです。100円ショップでもデパートでも販売されています。普段は懐(ふところ)に入れておくので懐紙と名付けられていますが、洋服ならポケットに、着物なら胸元に忍ばせておけばいいと思います。
また、優雅で奥ゆかしいのが懐紙のマナーですので、様々な場面で、有効に利用されれば、素敵で品の良いアイテムになります。日常生活の中で積極的に活用されては如何でしょうか?それでは、懐紙のエレガントな使用方法について解説しておきます。
○汚れを拭く時に使用します。
洋食ではナプキンが用意されますが、これは店側が用意してくれます。しかし、会席料理の時には自分で懐紙を用意して下さい。食事中などに、口を拭く時、懐紙で口元を押さえ、品よく汚れをふき取ります。ハンカチを膝に広げている方がいますが感心できません。
○手盆の代わりにします。
食事をする時に、汁や醤油がこぼれて汚さないように、左手を受け皿代わりにする人がいます。これを「手盆」といいますが、感心しません。以前も申しましたが、器を持って食べることをお勧めします。どうしてもこぼれそうな時には、手で受けるのではなく、懐紙で受けるようにして下さい。
○手の汚れを防ぎます。
「おかしら付きの魚」等を食べる時に、懐紙で魚の頭の部分を抑え、魚を上手に食べるようにします。次回に詳しくお話ししますが、おめでたい席では、「おかしら付きの魚」が丸ごと出ます。この食べ方は少々熟練を要します。ちなみにフランス料理では、フォークとナイフで食べますが、会席料理は当然箸だけで食べます。どちらも美しく食べるということが求められます。いずれにせよ、会席料理には懐紙は必須アイテムですね。
○食べ残しを隠す。
会席料理は美しく食べなくてはいけません。魚の尻尾や骨等が残った場合、それを懐紙で隠します。爪楊枝等を使用する時にも、懐紙で口を隠しますが、その爪楊枝の使いさしを隠す時にも、懐紙を使います。そして懐紙に包み持ち帰ります。
前にも申しましたが、懐紙は懐に忍ばせておくものですから、この残り物はそのままテーブルに置いて帰りません。帰る時に、出来る限り持って帰って下さい。勿論汚れものですので、臨機応変に対応して頂ければよいのですが、余裕があれば持ち帰りがお勧めです。
「食事が終わった後のお膳の様子」には、その人の品格がそのまま反映されます。美しく立ち去られることをお勧めします。ここが大事ですよ・・・。
○お茶席などで使用します。
お茶席で、お菓子を器から取っていただく時に使用します。
通常、「黒文字」で食しますが、その使い終えた黒文字も懐紙に包んで持って帰ります。
ちなみに、「黒文字(くろもじ)」とは、菓子楊枝のことです。黒文字はずばり木の名前で、この木は樹皮の香りが良いので、お菓子を食べる時に削ってスティック状にして使います。
○メモ用紙や一筆箋等に使用しても上品です。
会議やビジネスシーンにおけるメモ用紙にもなるし、食事中に隣人へのメッセージなどにも使用できます。例えば、自分の隣に、イケメンやベッピンサンがいて、その人にメッセージを伝える時などには最適ですね。後はどうなるか?はその人次第ですが・・・。
○ポチ袋の代わりになります。
お金を渡す時等、特に旅館等で、係りの人に心付け等を渡す時、懐紙に包み渡します。
以上色々と使用例を挙げましたが、慣れてくると、とても重宝します。柄も、無地の物から季節を彩った物まで、多種多様です。勿論懐紙ケースもあります。懐紙は、江戸時代の武家の娘には日常生活における必須アイテムでしたが、その流れは、今でも結婚式の時の白無垢にも見られます。
今の日本は本当に豊かになったお陰で、我々凡人でも、昔はごく一部の特権階級の人達しか縁がなかった物にも、気軽に触れることができます。大いに活用したいものです。