マナーうんちく話499≪習慣は第二の天性なり≫
マナーうんちく話60《イギリス式とフランス式》
4月8日は、お釈迦様の誕生日に当たり、仏教の言葉では、そのお祝いを「灌仏会(かんぶつえ)」「仏生会(ぶっしょうえ)」と呼びます。一般的には、丁度この頃が花の季節なので「花祭り」という名前で親しまれています。
花で美しく飾りつけた「花御堂」というお堂を、お寺に設置して、その中にお釈迦様の像を安置し、お祭りを執り行います。
花祭りと言えば甘茶を想像される方も多いと思いますが、お釈迦様の像に、柄杓で3回甘茶をかけてから、無病息災を祈念してからいただくのがマナーです。
日本は「神様・仏様の国」ですから、「クリスマス」より「花祭り」が盛大に執り行われるべきだと感じますが、現実にはこのお祭りはあまりしられてないようですね。クリスマスみたいにプレゼントの交換がないから、ビジネスに繋がらなかったからでしょうか?
残念な気がします。
ところでこの度の原発事故で、多くの想定外の危機に直面しているのはご承知の通りです。
放射能漏れと共に、夏の「電力供給の危機」も漂っているようですね。
また今回、「計画停電」という言葉を初めて耳にした方も多いと思います。東京電力の電力不足を充分に補えないからというのがその理由ですが、実はその原因は100年以上も前にあるようです。
日本の周波数は東日本の50ヘルツと、西日本の60ヘルツがありますが、これは明治時代に電気事業が始まった時、関東電力はドイツから50ヘルツの発電機を購入し、関西電力はアメリカから60ヘルツの発電機を買ったためです。
なぜ賢い日本人がこんな重要なことを別々にしたのでしょうか?
アメリカとドイツが予め談合していたのか?営業ルートが異なっていたのか?それぞれ袖の下があったのか?双方とも焦っていたのか?遠い昔のことなので想像の粋をでません。
最近は行政組織等において、大変かっこいい言葉が沢山あります。大学の学部名なども。余談事ですが、私たちの頃は、学部の名前は非常に単純明確なもので、教育学部、文学部、法学部、理学部、工学部、農学部、医学部、薬学部等が主流を占めていました。今は学部名だけで600を超える数があるといわれています。カタカナの名前も大変多いようです。
また行政にも「危機管理」というセクションがあります。今回の災害は全て想定外としても、日本における周波数の違いは、危機管理上、周波数を統一することにより相互支援システムが出来なかったのでしょうか?それとも経費の問題なのでしょうか?素人ながら素朴な疑問が湧いてきます。こんな現象、よその国では聞きませんね。
いずれにせよ、かっこいいネーミングばかりが先行するのではなく、中身が大事ではないでしょうか・・・。
実はこれと同じようなケースが「洋食のテーブルマナー」の世界にも有ります。
皆さんは、フォーク・ナイフで食事をする際、フォークの背に食べ物を載せますか?それともフォークを右手に持ち替えてフォークですくって食べますか?
食事が終わったら、フォーク・ナイフを揃えて皿の縦に置きますか?斜め横に置きますか?
また、洋食のマナーは説明する人により違うので、どれが正しいのかよく理解できないと感じられたことは有りませんか?
その原因は発電機と同じで、採用した相手がバラバラだったことに有ります。
すなわち、明治時代に、海軍は洋食のテーブルマナーにイギリス式を採用し、陸軍はフランス式を採用したことが原因です。
ちなみに、当時、西洋文化を一般庶民に発信するのに大いに貢献したのが帝国海軍です。
イギリス式とフランス式は「フォーク・ナイフの使い方」に大きな違いがあります。イギリス式は、基本的にはフォークとナイフを同時に使用し、フォークの背に食べ物を載せます。フランス式は、フォークを右手(利き手)に持ち替えても大丈夫です。
食べ終わった時のフォーク・ナイフの置き方ですが、イギリス式は揃えて皿の縦に置きます。フランス式は皿の斜めに、大体3時の方向に揃えておきます。
更にスープの食べ方は、スープに対し、手前から奥にすくうのがイギリス式に対し、フランス式は奥から手前にすくいます。
日本での公式な正餐の場合はイギリス式ですが、これを経験するのはごく限られた人です。平素から自分の使いやすいスタイルを身につけられたらよいと思います。
余談事ですが、なぜ同じ洋食のマナーなのに、イギリス式とフランス式がこんなに違うのかと言えば、イギリスとフランスは歴史的には、長い間常に対立関係にあったから、テーブルマナーに関しても意識的に違うようにしたそうです。
そういえば、同じ「箸食文化」を持つ韓国と日本では、同じ箸と茶碗でもテーブルマナーがかなり異なりますね。
日本は茶碗を手に持って食べますが、韓国はテーブルに置いたまま食べます。「郷に入れば郷に従え」が大切です。相手国の文化を尊重するというのがプロトコール(国際儀礼)の基本姿勢です。