マナーうんちく話26≪年賀状のマナー≫

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:歳時記のマナー


マナーうんちく話26《年賀状のマナー》

今年も年賀状書きの季節になりました。
何かと忙しい年の瀬に年賀状の準備は大変です。
今回はその知識とポイントについて触れてみます。お役にたてれば幸いです。

○年賀状の雑学
年賀状の起源は平安時代まで遡ります。そして江戸時代には武士は上司に、町人はお得意先に、子どもは寺子屋の先生に年始のあいさつに出向いていたそうです。このように本来は直接年始に挨拶に行くことでしたが、遠くて行けない人に年始の挨拶の書状をしたためたようです。一部のお金持ちは飛脚に託すことができましたがそれはごく一部です。

そして幅広く広まってきたのは明治になっての近代的郵便制度の普及に伴ってからです。
さらに爆発的に広まったのは、何と言っても1949年(昭和24年)の「お年玉つき年賀葉書」の誕生です。気象用語に「桜前線」「紅葉前線」というのがありますが、それを考えた人も素晴らしいと思いますが、正月に「お年玉つき年賀葉書」を考えた人も感心します。いずれも四季の美しさを愛で、絆を大切にする日本人ならではの感性ですね。
ちなみに昭和24年の特等は「ミシン」、1等は「純毛服地」だったそうです。

○年賀状のマナー
人間関係を円滑にするための年賀状です。目上の人やビジネス関係では襟を正し、親族や友人関係でも「親しき仲にも礼儀」ありです。礼儀正しい文章を心がけたいものです。

年賀状に使用する「新年を祝う語句」を「賀詞」と呼び、漢字、一文字・二文字・三文字・四文字・文章等がありますが、それぞれの意味を考慮して使い方に注意が必要です。ここが大きなポイントになります。
※「賀詞」は本来、年賀に限らず「お祝い」の言葉です。

一文字の「寿」「賀」は単におめでたいという意味で、二文字の「賀正」は正月を祝う、「迎春」は春(新年)を迎えるという意味で、また三文字の「四海春」は世界に春が来た、という意味だけで、いずれも敬意はないので目上の人には不向きです。

目上の人には「相手を尊ぶ漢字である謹」「うやうやしいという意味の恭」等が使用されている、「謹賀新年」「恭賀新年」等は敬意と丁寧さが伝わりお勧めです。
また「新年おめでとうございます」「明けましておめでとうございます」「新春をお慶び申し上げます」等は相手を選ぶ必要がありません。

また、「元旦」や「1月1日」、「新年」と「明けまして」はいずれも同じ意味なので重複表現に注意して下さい。

年賀状の投函時期ですが、年賀状は本来1月7日の松の内に届けばいいのですが、折角ですので元旦にキチンと届けたいものです。そのためには12月25日までには投函する必要があります。
「松の内」を過ぎたら、「寒中見舞い」(立春まで)として届けたらよいと思いますが、立春を過ぎたら「余寒見舞い」として出します。

さらに毎年よくあることだと思いますが、出していない人から年賀状を頂いたら直ぐに返事を書きましょう。この時は投函日が1日以降になれば、「元旦」という文字は使いません。投函日を書いて下さい。この点にくれぐれも注意して下さい。

最近は特にデザインにこだわる方も増え、また枚数が多いのでパソコン使用が目立ちますが、できれば1-2行はその人にふさわしい手書きの文章をお勧めします。
例えば、日頃からお世話になっている感謝の言葉、相手の健康・幸福を祈る言葉、今後とも変わらぬ付き合いを願う言葉等自由に綴って下さい。
「実礼」になるか、「虚礼」になるかは、差し出す人の「思いやりの心」次第です。
その意味において、手書きの1-2行は大きな意味を持ちます。


夏にこのコラム欄にて「暑中見舞い」を取り上げましたが、日本は元々四季が明確に分かれている関係で四季折々の節目の行事を大切にしてきました。なかでも年始と盆の挨拶は特別で、それがいずれも明治維新後の郵便制度の発達により、「書状」という形ですっかり定着したようです。

今では書状とともに、「メール」という選択肢も加わりましたが、普段は連絡をとったり、会ったりしなくとも、仲のよい者同士・お世話になった人・親族などに絆を保つ機会を与えてくれるのが暑中見舞いであり、年賀状だと思います。

「不易流行」という言葉があります。
暑い時・寒い時に互いの健康を思いやり・近況を報告し合うこれらの習慣は、如何にメール全盛の時代とはいえ何時までも大切にしたいものですね・・・

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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