マナーうんちく話⑰≪男の育児休暇と躾≫

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:日常生活におけるマナー


マナーうんちく話⑰《男の育児休暇と躾》

「改正育児介護休業法」により、専業主婦家庭における夫も育児休暇が取得しやすくなったようですね。
男性の育児参加がすっかり浸透してきた時代背景もあるようです。そんな中、市町村の首長が育児休暇を取得しようと動きは複数ありましたが、先日広島県では湯崎県知事が育児休暇取得を表明しました。多分県知事レベルでは初めてだと思います。
正直私はびっくりしました。

これに対して、大阪の橋本府知事は、苦言を呈しております。

湯崎知事は、「トップ自ら率先して、男性の育児休暇取得の前例を作り後の人が取り易くする」と言っているのに対し、橋本知事は、「何もかも大変厳しく、育児休暇は取りたくても取れないのが現状である。施策の整備が先決である」と言っています。
皆さんはどちらの言い分に賛成されますか?

自治体の首長レベルの育児休暇取得については賛否両論あってしかりだと思いますが、取りたくてもとても取れないのが圧倒的多数のようですね。まして男性ともなれば、「男性が育児休暇を取るの?」という風潮は依然として強いものがあり、取得率も未だ1%台です。

男性の育児休暇取得を受け入れてくれる環境や周囲の理解も必要になってくるので、この不景気の状況では「絵に描いた餅」になりそうです。
無理をして取得し、その後出勤したら自分のデスクがなくなっていた、では悲劇です。

そもそも育児がお母さんの主たる仕事になったのは、以外にも明治維新以後でまだ歴史的には浅いということをご存知でしょうか?

すなわち江戸時代にはお父さんが育児に携わっていたそうです。
肩で風を切って歩いていた武士が、実は家で子どものオムツを替えていたのですね。

政権が安定し、経済も豊かになり、多様な文化が花開いた江戸時代には礼儀・作法が武家階級から一般庶民にまで浸透した時でもあります。
其れにつれ、実用的な「育辞書」も数多く出版されていますが、そのほとんどが男性向けです。

江戸時代は男性が子どもを育てた時代だったのですね・・・

今はどうかわかりませんが、我々の頃は「父兄会」というのがありました。
保護者会のことです。
参加するのはほとんど母親でしたが・・・
多分その(江戸時代の父親の育児)名残でしょうね。

江戸時代は家長制度の元、妻をめとり、子どもを産み育てるということは、「家」を存続させるためにとても重要なことでした。

そして身分制度が存在していたため、武士には武士の育児があり、町人には町人にふさわしい育児が存在したと思われます。
特に当時の武士は、礼儀・作法に絶対的価値がおかれていたので、育児にもかなり神経を注いでいたと思います。さらに、先祖代々伝わる家の格式などは、父親が責任もって子どもに引き継がすという独特の気風があったのではないでしょうか。

年齢により武士の子らしく、挨拶・我慢強さ・謙虚さ・品格・本当の優しさ等をキチンとしつけていた気がします。
また子どもを不用意に叱りすぎると「おどおどした子に育つ」、夫婦仲が悪ければそれを見て育った子供は「不孝者に育つ」、礼儀・作法を厳しく躾れば「気品のある子供に育つ」等など、時代がいかに変わっても変わらない教えが存在していたのですね・・・

明治になり、育児が男性の責任から女性の責任に転換し、やがて育児や保育は女性のものとして固定化され、そして現在は夫婦の共同作業になりつつあります。

知事クラスの育児休暇取得の論争は当分話題になると思いますが、子育ての担い手が、お父さん、お母さんだけではなく、地域や社会全体で「国の宝である子ども」を立派に育て上げる風潮やシステム作りがなにより大切だと感じます。

「親はなくとも子は育つ」という言葉は、地域が充実していたからこそ生まれた言葉です。







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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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