本番で頭が真っ白にならなくてすむ英文読解講座(2023大学編入・大学院入試・直前対策講座)
最近、心理系大学院入試では、英語の試験の際には、辞書使用が認められている学校の方が多くなっています。英語が苦手な人には良いことかもしれません。もちろん、条件はどの受験生も同じですので、それでもって自らのアドバンテージになると考えるのは誤りです。表題の質問をする人の考え方は概ね2種類です。一つは、辞書を引くこと自体でアドバンテージを取りたいというパターン。もう一つは辞書を他人より引くのが遅いため、それを克服したいというパターンです。
結論から言えば、辞書を引く練習は特に必要ありません。おそらく紙の辞書を引いたことのない人はいないと思いますので、一定の引き方はできると思います。最近の若者にたまにいますが、仮に引いた経験がない場合は話が変わりますが、たいていの場合は辞書を引く技術自体に差が生じることはほとんどありません。したがって、日常の英語の勉強は電子辞書をしっかり使いこなせばむしろ効果的です。今時の電子辞書はすばらしく、使いこなせるならば、強力なツールです。辞書を使いこなすとは、早く引くことではありません。最低限度、品詞を外して引かないようにしておく必要があります。品詞を見ずに引いてしまうと、余計わからなくなりますし、余分な時間もかかってしまいます。
よく言っていることですが、テスト本番において、辞書を引ける回数は、よくて20回程度です。これに要する時間はおよそ20分です。20回引くのに40分かかる人は練習をした方が良いかもしれません。しかし、あまりそういった人はいないと思います。それ以上引くことを想定すると、競技の趣旨が、誰が一番辞書を引いたか、に変わってしまいます。本番は、辞書を引くことよりも、しっかり英語と向き合って、何が書いてあるのかをしっかり掴み、わからない単語があれば、文脈からおおよその意味を推測し、今どうしてもその意味が必要かどうかをチェックし、必要と判断したならば、それを確認するために辞書を引く。この一連の流れを身につけることが重要です。最後の「辞書を引く」のところは、普段は電子辞書で良いということです。
また、辞書を引く時に重要な考え方があります。昔、私が英語の専門学校に行っていた時のことです。単語がわからず、辞書をバサバサめくっていると(当時は電子辞書なんてありません)、ネイティブの先生が「フラッタリング」と言って、鼻で笑って去って行きました。私は、ほめられていないことはわかったのですが、正確な言葉の意味がわかりませんでした。要するにフラッタリングとは鳥が羽をバサバサやるのと同じように、無軌道に辞書を引くことで、ダメ学習の見本のようなものです。辞書を引く時にフラッタリングにならないようにするにはどうすればよいのかというと、「意味がわからないから」ではなく、 「意味を知ったら何がわかるか」を考えてどこまでわかるかの目安をつけて、「知りたい単語」を探すのです。意味がわからないからという理由だけでひくと、単語の意味でも一番最初の意味しか見ないということが多くあります。しかし、単語の意味配列は様々な方法があり、一概に言えません。
少なくとも大学院入試において、英語がない試験はほぼありませんが、英語力について単語力だけが求められているわけではないことは明らかです。求められているのは文脈力、読解力だからこそ、辞書をうまく使うことは、入試本番でも重要なスキルとなります。自分なりの辞書を引くスタイルをあらためて身についておいて損をすることはありません。私が高校生の時、英語は
「とにかく辞書をひけ、辞書を引いた数だけ賢くなる」
と習いました。もちろんこれはうそです。辞書を引いた数だけ賢くなることはありえません。もちろん引かねば賢くはなりません。ではどうすればいいのでしょうか?まず、辞書が引けるようになることが一番重要です。「辞書が引ける」とは、
「わからない単語を見つけて日本語の意味を調べること」
だけではありません。まず「品詞」がわかることです。例えば英語の場合、thatには嫌でも出会います。しかし、その出会ったthatが指示代名詞なのか接続詞なのか、関係代名詞なのかがわからないなら辞書を引いても届かないでしょう。また用例を見ても、thatにしか見えないでしょう。また、得てしてthatのような単語は、わざわざ辞書で引かないものです。本番では絶対に引きたくありません。これは「何となくわかる気がする」からです。だから本番までには、辞書を引かずとも使えるようにしておきたい単語の一つとしてカウントされます。
例えばdeciduous trees, trees that is ・・・とあったとします。deciduous tree(落葉樹)が何のことかわからない場合、そこで辞書を引いてしまうのではなく、もう少し我慢をして、先を読むと、補語として、どんな木であるかを説明している可能性を考えます。そこにoakなんていう単語があれば、少なくともdeciduous treeはoakであることが予測されます。そこまで予測する訓練をしておいた上で、辞書を引いた方が、文構造も読みますし、難しい単語の後ろには説明書きを入れてくれるという特徴もつかめますし、意味もインパクトに残りやすいという利点があります。このような訓練をすることがおすすめになります。
さらに辞書とは文法的なことを引くものではなく、日本語の意味だけ引くものだという思い込みがあると、品詞もわからないまま、あるいは気にもせず辞書を引こうとする現象が生じてしまうのです。しかし、よく考えてみると、正しい辞書の引き方を習った人はほとんどいないようです。英語以外の他の言語を学ぶと、割合辞書の引き方は習うものですが、英語は特に辞書の引き方が身に付いていない人が多いように思います。大学入試を意識するのであるならば、できれば、中学くらいで、辞書を引くという行為を徹底させて、高校では、極力使わない方法を教える方が良いと、個人的には考えています。
また、英語の辞書は「急いで引く」という思い込みがある人が多いことも気になります。どう考えても「正確に引く」ことが優先されると思うのですが、「とにかく辞書をひけ・・・」が邪魔をしているのかもしれません。また、我々の世代くらいまでは辞書といえば紙の分厚い辞書でした。電子辞書はほとんど普及して折らず、持っていても使うのはなんとなく、ずるいことをしているというような雰囲気がありました(そう思うのは私だけでしょうか)。でも入試においてもいまだにほとんどの大学が、紙の辞書しか使えないところを見ると、電子辞書に対してあまり肯定的でない見方があるように思えます。しかし、私は基本的には電子辞書推進派です。便利なものがあるならどんどん使うべきと考える方です。要は道具は使い方が大切です。辞書の文言を念入りに読むならば、紙よりも電子辞書の方が効率が良いのは誰の目にも明らかです。また最近のものは発音もしてくれます。場合によってはテストもできます。是非ともそのような電子辞書をフル活用できるようになることが必要だと思います。
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