うまくいくにはセルフヘルプが大切

井上博文

井上博文

テーマ:実は知らない面接対策・集団討論対策

今、必修の授業では、京都コムニタスでは必修の授業で面接対策関連に入っています。時々、「自分のことを言われているようで心が痛い」と言われますが、もちろん、特定の人を指して授業をするわけではありません。それだけ多くの人に当てはまることであり、普遍性があるのです。受験に限ったことではありませんが、何をするにしてもうまくいく人とうまくいかない人がいます。傾向的観点から言えば、何でも他人のせいにする人、間違っているとわかっていながら、やめられないという人がうまくいかない人としてあげられます。しかし、うまくいく、いかないの境目を考えた場合、「不安」がそれを分けると考えられます。不安が先立つ人は、「どうしよう?」思考になります。例えば、寝過ごして遅刻したとして、どうしようもないのにも関わらず「どうしよう?」ばかりを考えても、何も起こりません。このような人は問題解決から離れてしまっています。大事なことは「じゃあどうする?」と考えることです。今自分のおかれた状況と、自分の能力を勘案して、具体的に何をするかを決めることです。
「どうしよう?」の人は結局何も行動しません。手を打たないとも言います。手を打たねばならない瞬間に必要なことができないと、取り返しがつかなくなり、さらに事態が悪化するといった悪循環に簡単に陥ります。年中悪循環の人は、その自分の状況を他人のせいにします。嘘をついて他人を誹謗中傷する人もこの類です。ひどい場合、「親が悪い」「上司が悪い」、もっとひどい場合、「社会が悪い」「近所の子どもがうるさいから●●できない」なんてことを言い出すと危険です。うまくいく人は、人のせいにする前に、「今やるべきこと」をします。その際、余計なことを言ったり、したりしません。余計なこととは、「むかつくからしてやらん」とか「嫌いだから」「好きなことだけする」。このようなものは余計な、あるいは無駄なものです。うまくいく、いかないの境目は「どうしよ?」と「何をどうする?」の境目であり、不安状態と不安処理状態の境目でもあります。

面接にはまず自分作りが必要です。特に重視すべきは不安などの不健康な感情を自分で処理する技術を身につけることです。これにはREBTを使います。アルバートエリスのABC理論に従えば、セルフヘルプの場合、C(結果)から注目します。結果とは感情のことを指します。論理的にみた場合、結果があれば原因がありますので、その原因であるB(ビリーフ:考え方、見方、とらえ方)にも注目します。因果関係が成立すれば、Bを変えればCも変わるというシンプルな構造ですので、誰でもできるというメリットがあります。

Cから着目するわけですが、まず大切なことは、不安や怒りなど、自分の中に発現している「不健康でネガティブな感情」に気づくことです。これに気づけないと次に行けません。ある意味、素直になって、不安な自分、怒っている自分を認めてあげることも大切なことです。REBTではビリーフを見つけることが、セラピストを目指す人にとっての難関なのですが、実は自分の不健康な感情に気づくこともとても難しいのです。私自身もそうでした。なんとなく、心がざわざわする・・・
こんな時に、もう少し踏み込んで、頭の中で
【あ、今不安になってる】
と気づき、
【ということは、変な(間違った)思い込みが何かあるな】
と考え、
【どんな間違いがある?】
と自分に問いかけ、
【物忘れが激しすぎて、俺はどうしょうもない男と思い込んでいるな】
と導きだし、
【確かに忘れない方がいいけれど、忘れても助けてもらえることもあるし昨日も頼まれた書類、リマンドメールで確認までしてくれたし、忘れたからといって、「あなたはどうしょうもない男ですねと言われたこともない(なくもないけど、多分冗談)」】
という事実に気づき、
【じゃああの不安はそんなにこだわることもないか】【極力忘れない方法を考えておこう】
となれば、完全に消えないまでも不安は軽減します。
【少々忘れても、全部忘れるわけではないので、まぁ、まずは今覚えていることをしっかりこなそう】
と、ポジティブシンキングに持って行くことも可能です。
しかし、これは厳密には、ただポジティブになっているわけではありません。しょうがないものはしょうがないという現実を受け入れた結果ですので、多少のあきらめも含みます。このあたりは「健康でネガティブな感情」の一つです。ただの不安で放置するよりも、多少手間ですが、こうした処理をしておくだけで日常生活が非常に快適になります。

さらに例をあげると、以前バイクで出勤する途中のことです。信号待ちの時、左側にいた原付の男が突然火のついたたばこをポイ捨てしました。そのたばこが私の左腕に当たったのです。むかっとくるどころの騒ぎじゃないほど腹がたちました(ただし無傷)。
一瞬バイクをそこにとめて(道のど真ん中ですけど)そのタバコを拾って(火がついています)
その男に投げつけてやろうと思いました。(原付はすでに発進)
しかしです。そこで私がバイクを止めてタバコを拾い、追いかけて、ぶつけたとしましょう。果たして、溜飲が下がり、それできれいさっぱり問題解決でしょうか?もちろん違います。
①私がタバコを拾うだけで他の車に迷惑をかけます。
②火のついたタバコの火が消えていたら、それで安全ですけど、そんなタバコ拾っても逆にゴミ箱にでも捨てないと、私が今度はポイ捨てしたことになってしまいます。
③さらに火がついていたとして、そんなタバコを拾っても、私のバイクは両手、両足で運転しないといけないタイプです。片手では無理です
④また、万が一彼をやけどさせたら、私が傷害を負わせたことになります。
⑤私がタバコを投げつけたことで、火がついたり、彼が原付を転倒させて、他を巻き込む事故をおこしたら、当然、私の罪過です。

なんてことを考えたら、腹をたてるだけで馬鹿みたいに思えてきます。
(ここまで考えないとわからんのかというツッコミはなしです)
結局、普通にバイクを走らせ、塾まで無事につきました。そのころにはきれいさっぱりその事件は忘れていました。これはセルフヘルプです。セルフヘルプは、我慢することとは違います。私は我慢したわけでありません。よく考えたら馬鹿みたいなので、どうでもよくなったのです。気持ちがよくなったわけでもありません。むかつくのを耐えきったわけでもありません。合理的に処理してどうでもよくしたのです。このような処理を普段からしておくと、特に我慢強くなくても、うまく処理をすることが可能になります。是非、お試しください。


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井上博文
専門家

井上博文(塾講師)

株式会社コムニタス

塾長以下、スタッフが、全ての生徒の状態を正確に把握している。生徒をよく観察し、成長度合、どのような不安や悩みを抱えているか、をしっかりと観察し、スタッフ間で情報共有をしている。

井上博文プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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