わからないものを探して、見つけて、探求して、解明するのが研究者です

井上博文

井上博文

テーマ:大学院に行くメリット

今、何人かの元塾生の修論を一緒に作っています。これがなかなか(私も)大変で、(お互いに)正月返上になります。その時にいつも頭をよぎるのが「研究者」という言葉です。よく、研究者って何する人ですか?という質問を受けます。特に「研究したいことなんてないんですけど」というくだりの延長線上で聞く話です。それはおそらく「研究」という言葉が先に来てしまい、そこにだけ目がいってしまうと起こる現象です。

しかし、研究というのは、研究という言葉以前に、まず、素朴にわからないこと、疑問を持つことから始まります。いつも言っていることですがこの疑問が大事なのです。小さい子どもは「何で?」を連発します。たいていはどうでもいいことを「何で?」と聞くのですが、時にはこちらがドキッとするような「何で?」もあります。決して、それを大人がスルーしたり、怒ったりしてはいけないと思います。ある程度大きくなってくると、この「何で?」の質が変わってきます。子どものころは、何でも「何で?」で良かったのですが、自分の知識がなくて知らないことと、自分が知ろうともしてこず、特に関心を抱いてもこなかったことと世の中全般においてまだ解明されていないこととの区別をつけなければなりません。よく、研究計画を作る際に「○○の分野はもう研究され尽くしている」などと安直に言う人がいますが、研究され尽くしている分野など探す方が研究をするよもよほど難しいと思います。たいていのことは、疑問をはさむ余地があります。何かの結論をみて、「じゃあ、これは何で?」と新たな疑問を差し込むことで、さらに奥に入っていけるわけですが、大人になってくると、自らの力量でこの「じゃあ、これは何で?」を連鎖させていく必要が出てきます。これが、大人と子どもの「何で?」の違いです。

さらにこれが研究者の「何で?」になってくると、いわゆる学術的価値を有した「何で?」である必要があります。
この質の「何で?」は情報が増えれば増えるほど、洗練された「何で?」になってきます。一見、つまらない問いのように見えても、十分な価値を有するものはたくさんあります。大切なことは、「自分の残された人生の時間をかけてでも解明したい疑問を見つけること」です。そこに情熱を向けられるように身体と心と能力を鍛えている人が研究者です。

34歳からの数学博士という記事を見ました。どこにというわけではないのですが、何となく感動しました。当塾でもある程度年齢を重ねてから大学院に行きたいという方がたくさん来られます。私はこれからはそういう時代だと確信していますので、これからはもっと増えると思います。また、学生時代にそれほど情熱的に勉強できなかったことを後悔している人、その分を取り返して、勉強したいと思っている人もたくさんいます。大学院は、私に言わせれば、本当に贅沢な空間です。金銭に代えがたいものが、どんどん身体にインストールされていくことを感じられるのは、このときだけではないかと思うのです。そこに行かねば絶対に手に入らないものはたくさんあります。私たちの学生時代は、その時にできなければ、一生できないというような雰囲気がありました。しかし、今は違います。大学院拡充政策は、確かに批判もあります。一方で、社会人としてのキャリアを重ねた方が就職などとは一線を画した状態で、純粋に学びたいという気持ちで大学院に進む人も増えています。私もまだ現役です。できれば死ぬまで、学問に対する情熱を燃やし続けていきたいと思っています

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井上博文(塾講師)

株式会社コムニタス

塾長以下、スタッフが、全ての生徒の状態を正確に把握している。生徒をよく観察し、成長度合、どのような不安や悩みを抱えているか、をしっかりと観察し、スタッフ間で情報共有をしている。

井上博文プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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