これからの大学における公認心理師の位置づけ

井上博文

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テーマ:大学院に行くメリット

よく知られているとは思うのですが、心理学はとても人気の高い学問分野です。心理学を専門的に学べる大学は日本心理学会では300校近くあり、他の情報では最大450程度あるようです。大学は日本に800校近くありますから、心理学がどれだけ人気のある学問かがよくわかります。「心理」という言葉の響きが何か訴えかけるものがあるのかもしれませんが、日本人に限らず、人間の人間の心への関心の高さは時代を問いません。仏教学の中にも唯識学がありますし、系統を同じくする認識論もあれば、全く系統の違う知覚論のような分野も仏教の中にはあります。僧侶は元来出家者で生産活動を放棄するというルールがありますから、(真面目な僧侶は)生産活動をしない時間をすべて学びに充てるのが基本でした。それだけ、人間の心や意識、認知に対する探求がなされてきました。
しかし、一方で、心理学を勉強して、またいつもの「何の役にたつ?」論がいまだに出ます。個人的には、私はどの学部もそうだと思うのですが、もっと具体的にロードマップを書いて、この分野でこんな勉強をしたら、こんなところで活躍できる、ということを示すべきだと思います。この国は大学に入ることが人生の一大事で、その大卒資格が、「今時大学くらい出ていないと・・」に書き換えられ、「就職がない」につなげられます。しかし、今の高校生の親くらいの年代になると、大学の現実をよく知っているはずですから、「大学くらい出ておくと」「どうなるか」は十分知っているはずです。大学を出たくらいで、この国でバラ色の生活が待っているはずがありません。そうすると、さらに書き換えがあって、バラ色ではなく「最低限度食べていける」に切り替わっています。書き換えをまとめるならば、「今時大学くらい出ていないと、食べていくことができない」です。この書き換えはそろそろ限界にきています。というのも、さらに書き換えがあって、「今時、大学を出ても食べていけない=就職がない」になっています。

しかし、時代は超格差社会です。大学生の間にも格差があります。高校まではスクールカーストなるものがあるそうですが、同じ大学の大学生でもスマホ一つで大学に来て、PCが使えない情報難民のような人もいれば、プロ並みの情報収集力を持っていたり、起業をしている人もいます。要は今更ながら、大学で何をするかが最も大切です。

翻って、心理学は人気があることは間違いありませんが、出口として、心理学を活かした仕事とは何か、と言われると、これまでは困ることが多かったように思います。しかし、臨床心理学が一般化すると、要するに困っている人に心理学を応用することが、身近になりました。ただ、臨床心理士の場合、大学院のみの資格でしたので、学部教育は必ずしも必要はなかったのです。そこで公認心理師ができて、2018年入学生から学部から大学院までの6年教育が基本となりました。学部からの一環教育を歓迎する先生は、当時とても多かったと思います。
しかし、公認心理師が大学院で取る資格となると、かなりの絞り込みがなされることがわかってきました。また心理学を持つ大学は、公認心理師に対応するか、しないかの選択をする必要が出てきました。大規模大学や国立大学のように余裕のある大学は、あまり深く考えていないようですが、私立は生き残りをかけているところも少なくありません。一環教育のもと、確実に公認心理師を養成できる流れを作りたいと考えている私立大学はたくさんあります。しかし、全員が大学院に行けるわけではありませんから、学部からかなりシビアな絞り込みが行われている大学もあるようです。ある大学は2割程度しか公認心理師の資格を取れないそうです。その人たちからさらに大学院入試で絞り込みがなされ、そこまで残った人が公認心理師になる、という流れになっています。公認心理師をこれから目指す人は、学部に入った段階から、将来設計をしておく必要があるということです。

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井上博文
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井上博文(塾講師)

株式会社コムニタス

塾長以下、スタッフが、全ての生徒の状態を正確に把握している。生徒をよく観察し、成長度合、どのような不安や悩みを抱えているか、をしっかりと観察し、スタッフ間で情報共有をしている。

井上博文プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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