公認心理師試験 事例問題対策④
最近、公認心理師試験に合格する方法についてお問い合わせをよくいただきます。そりゃ、当然の疑問だとは思います。最近は、高校生の親御さんからもお問い合わせがあって、進路を選ぶ際に心理系の学部を選ぶにあたって、公認心理師という資格は合格できるのかどうか、こんなお問い合わせもいただいています。
何度か述べてはいますが、公認心理師試験の特徴は、幅広さです。まずはここから始まります。ただし、必ずしも「広く浅く」ではないので要注意です。「広いわ深いわ」という問題もあります。ただし、合格点は今のところ60%なので230点満点の138点が合格ラインですので、いかにこの点数を取るかの工夫が必要です。別に当塾の主任みたいに「9割取れる人」にならなくても十分合格できますし、工夫次第で、私のように臨床実績はあっても、心理学の専門教育は受けていない門外漢であっても合格はできます。合格するには、心理学の基礎知識はもちろん必要ですが、他にも公認心理師法をはじめとする関係行政論の法律の知識は点数になりやすいです。しかし、おそらくこれらだけでは合格ラインには乗りません。特に事例問題は1問3点ですので、ここでできる限り点数を落とさないことが大切であることは間違いありません。
事例問題は複合的知識が必要ですが、もう一つ重要な要素は日本語力です。正確には、国語の問題解答力とでも言うべきでしょうか。これは事例に限っていませんが、問題をかなり深く読み込まないと間違えてしまうことも少なくありません。また逆に日本語力があれば、正確な知識がなくとも正解に届くこともあれば、少なくとも選択肢を狭めることができます。
例えば第3回公認心理師試験
問2 統合失調症の症状が悪化したクライエントの公認心理師の介入について、適切なものを1つ選べ。
①症状増悪時は、心理的支援を行わない。
②幻聴に対して、幻覚であることを自覚させる。
③緊張病性昏迷では、身体管理が必要となる可能性があることを家族に伝える。
④作為体験によるリストカットは、ためらい傷程度であれば特に緊急性はない。
⑤服薬を拒否するクライエントに対して、薬は無理に服薬しなくてよいと伝える。
この問題は、出題者の意図はともかく日本語力問題の典型だと思います。正答は③ですが、例えば、問5遊戯療法と最も関係が深い人物として、正しいものを1つ選べ。
① A. Ellis
② A. Freud
③ A. T. Beck
④ H. A. Murray
⑤ J. B. Watson
といった問題のように正解②が明確な問題とは種類が違います。
まず一見して(自分がわかるかどうかは別にして)正解が出せるかどうかの判断をして、出せないものは、当然ながらしっかり読まないといけません。
まず問題は「統合失調症の症状が悪化したクライエントの公認心理師の介入について、適切なものを1つ選べ」ですが、統合失調症、症状の悪化、公認心理師の介入、適切なものを1つ、と重要ワード(この場合全部ですが)を並べて(本番ではそんな時間はありません)、「どんな介入かな」と想像するより、選択肢をしっかり読んだ方が確実です。
①症状増悪時は、心理的支援を行わない。
これは一見して知識があってもなかっても「不明確」です。ポイントは「行わない」ですが、誰が決めるのかが不明確です。ほぼ選択肢から消えると見ていいでしょう。
②幻聴に対して、幻覚であることを自覚させる。
これは知識があってもなかっても、まず違うだろうと想像がつきます。ポイントは「させる」です。この試験で、公認心理師が主語の場合、この「させる」があると、その選択肢が正解になる確率はかなり低いと言えます。自覚させてどうする?という疑問も残ります。
④作為体験によるリストカットは、ためらい傷程度であれば特に緊急性はない。
リストカットは重要ワードですが、これをないがしろにするかのような「ためらい傷程度であれば」も基準がありません。誰が決めるかがわかりません。また「緊急性はない」も同様で、選択肢から外れる典型例です。
⑤服薬を拒否するクライエントに対して、薬は無理に服薬しなくてよいと伝える。
公認心理師は主治の医師の指示を受けるということは、もはや周知であることを考えると、論外とも言えますが、日本語的には「無理に○○する、しない」は「無理」ですから、論から外しましょう。
日本語力回答の難点は、消去法になることです。また時間がかかります。ただ、よく読めばかなりの点数が見込めます。次回もう少し日本語力問題に触れたいと思います。
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