公認心理師試験重要キーワード いじめの定義
北海道試験問68
30 歳の男性 A、仮釈放中。Aは無職で、引受人の母親と暮らしている。A には、遵守事項によって、保護観察所での専門的処遇プログラムへの参加が義務付けられている。第回目のプログラム開始の時間前に、Aは保護観察所に電話をかけ「保護観察所に行くための電車賃がなく、本日はプログラムに参加できない。プログラムの不参加によって仮釈放が取り消されたとしてもかまわない」と担当保護観察官Bに話した。B が、交通費の支出を母親に依頼できないかAに尋ねたところ、Aは「母親は家にいるが頼めない。これ以上迷惑をかけられない」と繰り返した。このときの B の対応として、最も適切なものを1つ選べ。
この問題は、公認心理師が必ずしも直接関わる内容ではありませんので、関係行政論ということになりますが、関係行政論は法律に関して詳細な知識を要しますので難しいといえます。公認心理師過去問詳解 2018年12月16日試験完全解説版によれば、正答率は24.3%でしたので、難問と言えると思います。
①担当保護司に連絡をとり、Aに交通費を貸与するように依頼する。
②次 回の専門的処遇プログラムに必ず参加する旨の誓約書を送らせる。
③ 交通費を確保して次回からの専門的処遇プログラムに参加するように指導する。
④ 電話を母親に代わってもらい、交通費を貸与あるいは支出するように依頼する。
⑤ 交通費は更生緊急保護によって支給されるので、本日の専門的処遇プログラムに参加するように指導する。
ここでまず重要になるキーワードは保護観察所と更生保護法です。更生保護法第29条では次のように定義されます。
保護観察所は、次に掲げる事務をつかさどる。
1この法律及び売春防止法の定めるところにより、保護観察を実施すること。
2犯罪の予防を図るため、世論を啓発し、社会環境の改善に努め、及び地域住民の活動を促進すること。
3前二号に掲げるもののほか、この法律その他の法令によりその権限に属させられた事項を処理すること。
執行猶予の付いた者や仮釈放の許された受刑者は保護観察などの社会内処遇を受けます。また、仮釈放許可の判断は地方更生保護委員会が行います。社会内処遇を受ける者は、保護観察所の保護観察官および民間のボランティアである保護司の指導監督・補導援護を受けます。
保護観察対象者には、必ず守らなければならないルール「遵守事項」が課されます。
・ 再び犯罪をすることがないよう、健全な生活態度を保持すること
・ 保護観察官や保護司の面接を受けること
・ 生活状況を申告し,必要に応じて生活実態に関する資料を提出すること
・ 転居や旅行をする場合には,事前に保護観察所長の許可をうけること
・ 遅刻,早退することなく、学校に通うこと
・ 就職活動や仕事をすること
・ 共犯者との交際を絶ち、接触しないこと
・ 被害者等に一切接触しないこと
・ 深夜に無断外出しないこと
・ 性犯罪者処遇プログラムを受けること
また⑤の厚生緊急保護ですが、これは
第85条 この節において「更生緊急保護」とは、次に掲げる者が、刑事上の手続又は保護処分による身体の拘束を解かれた後、親族からの援助を受けることができず、若しくは公共の衛生福祉に関する機関その他の機関から医療、宿泊、職業その他の保護を受けることができない場合又はこれらの援助若しくは保護のみによっては改善更生することができないと認められる場合に、緊急に、その者に対し、金品を給与し、又は貸与し、宿泊場所を供与し、宿泊場所への帰住、医療、療養、就職又は教養訓練を助け、職業を補導し、社会生活に適応させるために必要な生活指導を行い、生活環境の改善又は調整を図ること等により、その者が進んで法律を守る善良な社会の一員となることを援護し、その速やかな改善更生を保護することをいう。
とあります。親族からの援助を受けることができず、とありますので、それが確定していないといけません。この事例はそれが確定していませんので、⑤がなくなります。これが事例問題の難しいところですね。正確な知識と冷静な判断が求められるところです。正答は④になります。
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