いわゆるポスドク問題
進路の見込めない専攻を縮小へ、大学院改革で中教審という記事を見ました。言葉は悪いかもしれませんが、現場を知らないのか、興味がないのか、おかしな政策をこれでもかと連発して、大学教育をメチャクチャにした人々が、未来を見据えて、さらにおかしなことを言います。最近私が受けた相談に、
「私は社会保障や福祉に関する授業や研究をしているのですが、私が社会的弱者です。社会保険を払えたことがない人間が、社会保障に詳しくなり、その理念を語るこのつらさ」
このようなものがありました。これは大学の非常勤講師の方の悩みです。今ここに、自分の足元に大量の食べていけない人がいるのです。それを無視して、
「大学院教育の改善策として、学生の進路が見込めない専攻について定員の削減や社会的なニーズが高い分野への振り替えなどを大学側に求める方向を打ち出した。」
よくこういうことが言えると思います。こういう抽象的かつ中身のない、どこかの総理大臣のように「やってやった感の演出」だけの咆哮です。うるさくて近所迷惑なので吠えないで欲しいところです。「社会的ニーズが高い」の意味が不明な上に、仮に高いことが証明されたからといって、学生の進路が見込めるとはとても思えません。ましてや、今あるかないかわからないような話です。
是非この先生のような方に指導を受けてから、理解できる日本語が使えるようになってから、大学教育の未来を語っていただきたいと願います。
「博士課程教育リーディングプログラムに取り組んだ大学では、産業界と連携した教育や研究が進んでいるが、各大学が自らの強みや特色を踏まえた人材育成ができておらず、中でも博士課程後期課程は大学院のカリキュラムと社会、企業の期待との間でギャップが生じている。大学分科会はこれら課題とポスト確保の困難さが響き、学生に大学院進学をためらわせているとみている」
学生に大学院進学をためらわせているのは、大学院に行く意味がそもそも見いだせないからです。行けるものなら行って、勉強をしたいと考えている大学生は無数にいます。海外のように大学院に行った方が食べていけると思えば行きます。日本の高校生が海外の大学を選ぶ傾向が強くなっていることから見ても、誰が見てもわかる話です。この事実を全く理解していないと思います。繰り返しますが、勉強したいと思っている学生は無数にいます。しかし、大学院が何のために存在するのかを、ほとんどの人が知らないのです。大学院に進んでからのロードマップをホームページに掲載している大学を見たことがありません。学部で4年学び、修士課程で2年間で修士号を取り、その後3年で博士号を取るとは履修要項を紡ぎ併せて読めば理解できなくはないですが、ホームページなど誰の目にも触れられる箇所で、博士号とは何のためにあるのか、博士を取った人間はどうなっていくのか、その大学は何のために博士号を発行するのか、どうやってその人材を育成していくのか、大学はそこにどういった責任を持つのか、ということを踏み込んで発言をする大学を寡聞にして知りません。であるにも関わらず、
「こうした点を解決する方策としては、時代の要請に見合う質の高い教育を専門分野、普遍的分野の両方で実施するとともに、国際的に通用する学位授与に見直す必要があると提言した」
そんなもんで解決するわけがない!と声を大にして言いたいです。こんな超抽象論など100年前でも言えたでしょう。破壊され尽くした大学教育で、何を今さらとしか言えない文言です。国際的に通用する学位などありません。海外の学者と名刺交換した場合、学位だけを見るか、あるいはどこの大学で学位を取ったかを聞かれることはありますが、「国際的に通用する学位」などという抽象的な学位があろうはずもありません。まず、今ここ、目の前にいる苦しんでいる博士や院生に思いを向けられない人々が、何をかいわんや、です。
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