公認心理師に関する報道
左巻健男著『暮らしのなかのニセ科学 』(平凡社新書)という本が出ています。私としてはとても面白い本でした。
著者は、ニセ科学(疑似科学やエセ科学とも言う)が世の中にあふれており、ニセ科学は、「科学っぼい装いをしている」あるいは「科学のように見える」にもかかわらず、とても科学とは呼べないものを指して定義します。
私たちが子どものころから、ユリゲラ-とか、スプーン曲げとかUFOとか宇宙人とかとか、この種のものはたくさんありましたが、私の印象としては、テレビのバラエティであり、娯楽だと思っていました。ところが、近年はどうやらそうではなくなっているようです。著者は、
「科学はよくわからない、興味もあまりない、でも科学は大切だ」と思っている人が世の中にはたくさんいます。そういう人たちを、ニセ科学はつねに狙っています。科学的な根拠のないこセ科学がはびこっているのは、科学への信頼感を利用しているからです」
と鋭い指摘をしておられます。ユリゲラ-のころは、科学への信頼など、あまり深く考える必要もなかったように思います。だまされるか、だまされないか、信じるか信じないか。それはオウム事件のころも大きな違いはなかったのではないかと思うのです。
本書はそんな事例の宝庫です。
「がんが治る・ダイエットができると称するサプリメントや健康食品の多く、健康によいとされる水、ホメオパシー、経皮毒、デトックス、血液サラサラ、着けると健康によいという製品、ゲーム脳、「人間の脳は全体の10%しか使っていない」「右脳人間・左脳人間が存在する」などの脳神話、『水からの伝言』、マイナスイオン、EM菌、ナノ銀除染、フリーエネルギー、血液型性格判断、「知性ある何か」 によって宇宙や生命が設計されたとするインテリジェント・デザイン説、アポロは月に行っていなかったというアポロ陰謀論、人口減少させるために何者かが有毒化学物質をまいているとするケムトレイル……」
かのスティーブジョブズも事例にあがっていますから、社会的著名人、知識人、経営者など、合理的思考にたけていると思える人とて、今や例外ではないようです。私も以前、母親から水素水の効果を長々と聞かされましたが、水素なんて飲んでも水にしかならんでしょと言うと、不愉快全開の顔をしていました。もしかすると抗酸化物質のような効果が期待されていたのかなと好意的に見てもみましたが、そういうものでもなさそうです。ほぼ「何となく」です。でも怖いのは、ここからなのです。ここで「科学的根拠」らしきものを出されると、余計に信じ込むのです。「確かにいい」とか言い出すのです。具体的に漠然と言うとでも言うべきか、怖い言葉だなと思ったことがあります。
今、必修の授業ではエラーチェックをしていますが、エラーチェックに科学的思考は必須です。変な科学もどきにだまされないようにするには、まずは自分の考え方をよくチェックしておくことから始めるのが妥当です。自分の思考の癖を知っておくと、危ういものとの距離を測ることも可能です。その意味では本書はとても有益だと感じました。
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