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井上博文

大学院・大学編入受験のプロ

井上博文(いのうえひろふみ) / 塾講師

株式会社コムニタス

コラム

そんなにエビデンスが好きなんだ?

2017年2月15日

テーマ:実は知らない面接対策・集団討論対策

コラムカテゴリ:出産・子育て・教育

この質問は、今回の入試で、面接官から受験生が問われた質問です。私は、基本的に、ほとんどの質問には意味があって、それに文句をつけるということをしたことはありません。しかし、今回のは憤慨せざるを得ないと思うくらいのことでした。
これを言うとどこの大学院かわかると思いますが、少なくとも「科学」を研究科名と学科名に入れている大学院です。そこでちょっと耳を疑うような面接がありました。

エビデンスとはそもそも医療研究の用語です。私の知る限りにおいてですが、EBM(Evidence-based-medicine:エビデンスに基づいた医療)という言葉ができて以来、各方面でエビデンスという言葉が使われるようになってきたと記憶します。私は看護系予備校で小論文の講師を長くしていましたので、その際にこのEBMはかなり頻度で使用しました。エビデンスとは、基本的には統計と実験から得られた普遍的データとでも言うとちょうど当てはまるかと思います。簡単に言うと、風邪薬は誰が飲んでも風薬である根拠です。Aさんが飲んだら風邪薬だけど、私が飲んだら便秘薬でした、では、誰もその薬は怖くて飲めません。私たちは、もはや無意識に近い形で、このエビデンスを信用して生きているのです。心理学もヴント以降、実験という形で、人間の心について様々なエビデンスを得て今があります。エリスのREBTとてABC理論に科学性がなければ、誰も振り向きません。
もちろん、エビデンスがすべて正しいなどと言っているわけではありません。まだまだ未開の分野もあれば、もっと数字を伸ばして研究をしていかねばならない分野だってたくさんあります。それを次代の若者が担い、指導者はその方法を大学で教えるのだと私は信じています。好き嫌いの問題ではないはずです。

今回、私が憤慨するのは、一人の受験生が、志望理由で、この大学院の「心理科学」という言葉にほれ込み、そこでエビデンスという言葉を使ったのですが、その面接官は、
「ふーん、そんなにエビデンスが好きなんだ」
と一言言ったあと、あとの質問の大半は、「で、そのエビデンスは?」と聞き、すべての質問の内容が「で、そのエビデンスは?」になってしまったのです。面接は本来、大学側にとっても聞くべきことがあるはずですが、それは単なる嫌がらせであり、面接と呼べる代物ではありません。ひどいのは、将来のことを聞いた時です。「実践と研究のバランスをしっかり考えてやっていきたい」という旨の回答をすると、やはり「そのエビデンスは?」でした。これは回答に対する応答ではありません。何を答えてもこれでは受験生があまりにも不幸です。こんなのは面接ではありません。未来に対する回答でエビデンスと言いますが、その先生は、動物介在療法で有名な方です。その動物が将来咬まないエビデンスなんて出せるのでしょうか?クライエントが怖がらないエビデンスなんて聞かれたら答えられるのでしょうか?あまりにも残念です。せっかく希望を胸に受験をしても、このような形で嫌な思いをする必要があるとは思えません。


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