京都学園大学工学部設置構想に思う
文科省が「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する有識者会議」
ということをしているそうです。
「実践的な職業教育」とはあまりにも抽象的で、何を目指すものかは
わかりませんが、五月の首相の話では、教育改革を進めていると宣言し、
「学術研究を深めるのではなく、もっと社会のニーズを見据えた、もっと実践的な、職業教育を行う」
と言っています。両方を併せて考えてみると、大学教育がおかしな方向に向かおうと
していると危惧されて当然だと思います。
何をもって職業教育とするのかという定義にもよるとは思いますが、
大学は基本的に学術という技術を身につけるところです。
元来、職業訓練の場ではありません。それが、現代における現状に沿わないという
意見があるにせよ、だからといって、職業教育にシフトするかのような主張は
アクロバティックな見解だと思います。職業教育は、職業訓練校ですべきことのはずです。
国や為政者は、仮に現状を嘆いたり、憂いを持つのであるならば、現状を改善することを
優先的に考えるべきであり、中味の伴わない「改革」を安直にすべきではありません。
大学は大学にしかできないことをすべきであるし、それを追求していくべきです。
大学で学んだことが就職して何の役にもたたないという思い込みが、
おかしな方向に導くのでしょうが、もし本当にグローバルだの、国際化だのと言うのであるならば
海外の大学、とりわけ歴史のある大学がどれほど教養を大切にしているかを知るべきです。
それが生きていくに当たって、どれほどの可能性と視野と展望を与えてくれるかを
知るべきです。哲学がないと、経営もうまくいきません。生活もうまくいきません。
人間関係もうまくいきません。やらなくていいことを「つい」やってしまいます。
不安に負けてしまいます。余計な攻撃をしてしまいます。そして他人から
嫌われ、受け容れられなくなります。そして「どうせ私なんて・・・・」
こんな悪循環にならないように、あるいは脱するために教育を受けて、
教養を身につけておくはずです。いくら職業訓練を受けても、それを使いこなすための
頭と身体を作ることが、大学で本来学ぶことのはずです。
是非、お偉方はその良い頭で教養獲得について考えていただきたいと思います。
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