博士号の重み

井上博文

井上博文

テーマ:大学院に行くメリット

先日、早稲田大学が小保方晴子氏の博士号の取り消しを猶予つきで発表しました。
これまでも何度か博士号に関して書いてきたこともあってか(こちら)、
多くの人からどう思うかを聞かれましたので、少し口を挟みます。
まず最初に思ったのが「意外」でした。おそらく大学としては、一度出した学位を
取り消すということは、前例になってしまいますので、基本的にはしたくないと思います。
前例とは基準ですので、再調査を全般的に行う必要性が生じてしまうと、
(悪く言えば)とばっちりを受ける人が出てしまう可能性が生じてしまいます。
これは多くの研究者にとってあまり喜ばしい話ではありません。
また、小保方氏のようにセンセーショナルな登場をした人が、
メディアに叩かれた上に、様々な調査をされて、人格攻撃がなされたあげく
彼女に学位を出した学校までが叩かれるという現象は、大学からすると
「巻き込まれた感」は否めないと思います。実際、総長や指導教授が
処分を受けていますから、学位を出すことが大学にとって重いことであることが
あらためて認識されたということになると思われます。

一方、いわゆる有名大学で博士を取得しても、その後、その博士号を
どう使うかということが各博士(特に甲類)に課せられた重要な任務であろうかと思います。
その博士の名前を汚すのであるならば、大学としては取り消し処分が検討されるということは
あり得た方が良いのかもしれません。
例えば、自分で取材することもせず、インターネットの情報だけをこねくり回し、他人を
勝手に「怪しい」「疑わしい」(つまり証拠がない)と騒ぎ立て、他人の悪口をネット上に
怪文書のような体裁で垂れ流すような下品な博士は許されざる存在でしょう。
一たび興味をもったらなら、場合によっては命懸けの場所であっても、勇気をもって、
そこに足を運び、情報を得てくるのが研究者であると、私は習ってきました。

それからすると、何もせずにネット情報だけで、他人の悪口しか言えないような
博士は母校の名さえ汚します。

繰り返すと、学位取得者は、取得後何をするかが重要です。
博士取得でゴールインという人もあって良いとは思いますが、基本的には、
博士としてのその後の活動の方が他人の目にさらされます。
やはり、単なる免許証という見方だけではなく、それをどう使っていくのか
ということに関するアイディアが必要ですし、発行する大学も、それをどう使わせたいのか
何らかのロードマップがあると、もっと博士を目指そうという人が出てくると思います。
今年もこの国の研究者からノーベル賞受賞者が出ましたし、優秀な人材がたくさんいます。
博士を目指すのがスタンダードな時代が来れば良いのにというのが、私の願いです。


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井上博文(塾講師)

株式会社コムニタス

塾長以下、スタッフが、全ての生徒の状態を正確に把握している。生徒をよく観察し、成長度合、どのような不安や悩みを抱えているか、をしっかりと観察し、スタッフ間で情報共有をしている。

井上博文プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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