いわゆるポスドク問題

井上博文

井上博文

テーマ:大学院に行くメリット

以前、難問というコラムでも触れましたが、
大学院博士課程を出て、博士論文を出して、博士号を取得しても
就職がないといった問題が根強くあります。国の意味不明な法律によって
振り回されていることは差し引いたとしても、かなり切実な問題であることは確かです。
私の考えとして、「優秀な」博士たちが、力を結集して、
どんどん自分たちの理想とする研究所や教育機関を作ればよいと長年言ってきました。
博士たちがこういったバイタリティを持つようになってくると、
様々な変化が生じてくると考えています。

しかし、そうは言ってもこの国は大学進学神話とシューカツ神話に
毒され尽くしていますので、なかなかそういった発想にならないのかもしれませんし、
大学院に進むこと自体が年齢と金銭というリスクを背負いますので、
そう簡単にはいかないのかもしれません。いつかそれを打破するシステムを作るのが
私の野望の一つです。

博士に関する最大の問題は、就職のことではありません。(絶対に違うと思う)
問題として
①博士を出す大学自体が、博士号とは何かということについて明確な哲学を示していない点
私がかつて博士号を取るために、事務方に相談に行っても、誰も博士号について
正確なことを何も知らず(提出日まで)、履修要項を見なさいの一点張りで
履修要項に書いていないことは、事務も知らないから自分で考えてくれと
言い放ちました。
②博士を取得するまでの期間の金銭的負担と不安に対してすべて自己責任であること
奨学金もほとんどローンですので、後に借りた人を追い込む材料になっています。
返すあてのない人に貸すのが問題という指摘もありそうですが、
ある意味先のことを抜きにして、今の人生を勉強に費やしたいという意欲を
根こそぎ奪ってしまうことは不適切です。よく大学の先生は、「今、ここ」が
大事ということを言いますが、とてもじゃないけどそうは思えないという人が
増産されてしまいます。
③博士号の使い方がわからない
そんなこと自分で考えろ、という時代ではなくなりました。
言われなくてもたいていの人は考えていますが、使い方が見えないのです。
例えば医師であれば、開業するにしても、勤務するにしても
その資格がなければできないものです。

果たして、今の博士号(いわゆる甲類博士、あるいは課程博士)は、
名誉のためのものなのでしょうか?それとも何かの免許証なのでしょうか?
学校によって考え方は異なるのでしょうか?国の方針が定まっているのでしょうか?

大学は、例えばホームページに博士号取得までのロードマップを
書いてみるということはしないのでしょうか?
それをしてみるだけで、様々なことが変わりますし、博士号が何たるものであるのか、
それを発行する側が認識することにつながるはずです。
発行する側がありとあらゆることを理解できておらず、
資格か免許証かどうかもわからない博士号という証書を渡すだけというところに
問題の根幹があり、それを解決しようともしないまま時代だけが進んでいることが
最大の問題です。
もらえるものはもらっておけと言えるだけの余裕がある人はいいですが、
借金をして、それに人生をかけた人もいると思います。是非そういう人が
報われるシステムが作られることが大切です。



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井上博文(塾講師)

株式会社コムニタス

塾長以下、スタッフが、全ての生徒の状態を正確に把握している。生徒をよく観察し、成長度合、どのような不安や悩みを抱えているか、をしっかりと観察し、スタッフ間で情報共有をしている。

井上博文プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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