『不登校でも子は育つ』
以前にも紹介したことがあるのですが、『乙嫁語り』という漫画があります。
その6巻が出ました。
中央アジアをテーマにした、我々日本人からすると
あまりにマニアックな地域ですが、あちらからすると
その面積からみて、明らかに日本の方がマニアックです。
時は19世紀中央アジアを目指す(狙う)、西欧諸国、
ロシアの思惑がうごめき武器や資本が流れ、人々の
余計な欲望に火をつけ、混乱が大きくなってくるまでの
流れをさらりと描いています。作者の画力もすばらしいのですが、
それ以上に、この地域をかなり勉強されているという印象を
持ちます。どこかの国を安直に叩くのではなく、全体像を
よく見渡して、どのようなしくみで争いごとがおこるかを
描きつつ、かつそのさなかにある人々の心理を、ここで単純に
書けないくらい複雑に描いています。
今のメディアのように、あいつが悪いだから、あいつをやっつけろ、
と単純に描く連中は、反省すべきだということがよくわかります。
争いはどのようにおこるのかというメカニズムをよく観察して
それを描ききるメディアが出ることを願いたいものです。
隣の横暴な国々と日本の関係において、現代日本人からすると、
奇妙奇天烈なくらい理不尽な要求と物言いをする相手方と
それに相対している日本人の文言にどんな含みがあり、それが
どれだけ相手を刺激しているか、だけでは足りないのです。
作品では、ロシアだけが名指しされて、武器を特定の部族Aに
流していることが描かれています。もちろんそれをどう使うかは
その部族次第です。武器を持った部族が、困窮し、別の地にいる部族Bを
狙う部族Cに、表向きは手を貸すようなそぶりを見せて、戦争
(一方的侵略)を勃発させ、実はAの狙いは漁夫の利だったという
メカニズムが重要です。いくらでもありそうなのですが、
ABC部族三者間にロシアが絡むという四者関係と一枚岩になれない人の心理
を描くのは至難だと思います。
本来争いごとが生じるときは、規模はそれぞれですが、
このように巧みに争いごとを起こさせ、混乱の種火を作る連中が
どこかにいるということです。それをする側は、混乱が起きようが
起きなかろうが、どちらでも良いわけです。沖縄独立運動の様子を
見聞きすれば、過去を持ちだして、相手を拘束しておいて、
その間隙をぬって、様々な戦略を打ちたい連中の思惑が
よく見えると思います。時代の流れに抵抗しきれないことも
ありますが、少なくとも、我々はメカニズム全体の像とそれに絡む
人々の心理の変化の流れをしっかり見る能力が求められると思います。
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