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井上博文

大学院・大学編入受験のプロ

井上博文(いのうえひろふみ) / 塾講師

株式会社コムニタス

コラム

小論文の問題は、書き方次第で人間性が見えてしまいます

2013年8月6日

コラムカテゴリ:出産・子育て・教育

最近、小論文で出やすい問題として「出生前診断」が
あります。今年から新しい出生前診断ができるようになり、
良い面とそうでない面が取り沙汰されています。
医療看護系、助産系の問題でこれが問われています。
最近見た問題では
「新しい出生前診断についてあなたの意見を述べよ」
というものがありました。これはなかなか難しい問題です。
決まった回答はありませんが、自分がどのような立場に
立ち、どのような職業を目指しているかによって
回答は変わってきます。特に助産系の人は、安易に
中絶をすすめるかのような発言は避けなければなりません。
ポイントはどのような人が、出生前診断を受けたいと
思うかというところにあります。この診断を受ける人は
金銭を支払って、自発的に受けようと思う人が大半でしょうから
かなり強い意思があって受けようとしていることが言えます。
また、子どもの先天的な障害を気にしているから受けるという
ことも言えます。近年は出産年齢が高くなってきていますから、
子どもの先天的障害について、気にしている人が増えていることも
言えます。問題の設定は、これらの言えることを踏まえて、
自分の立場を押さえた上で、設定します。
例えば、助産師の場合、自分が将来出生前診断について
情報提供を求められる可能性もあるということを
意識しておいた方が良いでしょう。かつて当塾にも
助産師の方で、出生前診断の倫理的問題に悩みがあり、
遺伝カウンセラーになった方もいました。このようなキーワードが
あって良いと思います。問題の設定をする際には、できるだけ
たくさんのキーワードを書き出し、どのような内容にするかを
イメージしてからセットするのが妥当です。

新しい出生前診断について、構えはしっかり作っておきたいですので、
まだ情報は少ないでしょうが、すでにどのような問題が起きているか
最新情報は仕入れておきたいところです。しかし、それ以前の問題として
小論文では人間性が見られますので、その点を踏まえておきたい
ところです。医療看護系の場合は、特に生命を大切に考えられるか
どうかは重要ポイントです。いかなる場合でも中絶を前提にした
話題提供は避けた方が良いでしょう。
例えば、
「新しい出生前診断ができたことによって、診断が受けやすくなった。
そのため、妊娠初期の段階で中絶の選択をしやすくなる」
こんな回答は避けたいところです。案外さらりと書いてしまいがちですが
中絶の選択をしやすくなるのは、情報を受け取ってからの話ですので
その選択は情報を受け取った側だけがするものです。
この時点で出生前診断に責任はありません。また中絶を医療従事者側が
促すことが前提になるのは、母体保護の観点を除いては不適切です。
それよりもその情報をどう使うかが、医療従事者、情報を受けた人の
双方が問われる問題になります。むしろ、安易に中絶の選択をしないように
意識をもって書く方が妥当だと考えられます。
小論文はこのように、人間性が出やすい問題が問われやすいですので
その点を踏まえて練習をするのが妥当です。数を書けば良いというものでは
ないのです。


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