論理構造を考えて文を読む、書く

井上博文

井上博文

小難しいトピックかもしれません。
今、必修の授業では、「こんなことしてはダメよ」
シリーズの最終段階ですが、最後に伝えているのは
論理構造の間違いについてです。

例えば、AさんとBさんが論争していることを
第三者として見る場合、どちらかに賛成するか
反対するかは、あっても良いと思いますが、
賛成にしても、反対にしても、その方法が
大切になります。
例えば、A vs Bの対立構造で、Aに賛同する立場を
取るとします。その場合、とある「カリスマ」が書いた
本によると、Aの理屈が三種あり、三種とも間違っている、
あるいは自分が賛同できない。故にBに賛成である。
と書いています。

本当はどの本かも具体的に書きたいのですが、ここでは控えます。
(もちろん授業では言っています)

これはきわめて不適切な理論構築です。
なぜなら、Aの不備の指摘のみで、Bについての言及が
ないからです。いくら二項対立であっても、「両方正しい」
「両方間違っている」ということはあり得るわけですので
いずれかだけを見て、それが間違っている点だけを
主張して、支持する方を決めるというやり方は、かなり
偏っています。論文を書くときには、このような偏りは
あってはならないことです。
仮にBに賛同するならBの正しい点がなければ賛同できる
はずもありません。
1+1= の問題で、Aが3、Bが4と答えているのに
Aが間違えているからといって、Bが正解にはならないのと
同じことです。子どもが考えてもわかることですが、
たまにプロを名乗る人間がとんでもないことを書いているので
要注意です。

対立構造を見るときは、当然ながら、双方の主張と
双方の理論構築プロセスを見る必要があります。
例えば、同じようなA vs Bの対立構造であっても
Aが先に新聞などに投稿した記事に対して、Bが
反論記事を書くという構図の場合は、BはAありきで
存在する理屈ということになります。言ってみれば
後出しじゃんけんですので、ある部分ではBの方が
有利です。Aは書き直しができないわけですから。
そうするとBはAの理屈をしっかり読みこなして、その上で
批判なり、反論なりをしなければなりません。
第三者は、その意味で両方の論のあり方も踏まえて
読まねばなりません。
学会誌上でそのような対立構造が生じた時も
批判された方は、やはり批判した側が、自分の理屈を
正しく理解していない旨を主張するところから反論します。
学会誌上論争の場合は、批判する側は、される側の
一つの論文だけではなく、これまでの論文の経緯を
できるだけ押さえておく必要があります。一部だけ捕まえて
揚げ足をとるやり方は、むしろ自分が強い批判にさらされます。

いずれにせよ、自分がどのような論理構造を構築しながら
論を展開していくか、イメージを作ってから、文を作る
ことを意識できる技術が必要ということになります。

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井上博文
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井上博文(塾講師)

株式会社コムニタス

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