自閉症理解のために必要かつ大事なこと ~自閉症と健常者は同じ心理が働いている~

宮本章太郎

宮本章太郎

テーマ:自閉症の心理学・広汎性発達障害

自閉症の人というと、健常者からすれば障害がある人であり
自分たちとはどこか違う、別の世界の住人のように思う人も多いかもしれません。

意識してそう思ってなくても、どことなくそんな感覚があるのではないでしょうか?

同じ人間のはずなのに、どうして自分と同じようには感じられない?
言動がおかしい、理解できないから?
健常者のように一般的な社会生活や行動からかけ離れているから?

誤解のないように注意してお話しないといけないのですが
例えば私たち人類と野生の動物とでは
同じ生き物ではあるけれども住む世界、生きる世界が違うと
自分たちと同一視して捉えられませんよね。(自分たちとは違う存在)

しかし同じ動物であっても
犬猫のようなペットとしてなら私たちと近い存在に感じます。

どちらかというと野生の動物に近いはずなのに
野生動物とは違って私たちに近い、身近な存在として感じるでしょう。

果たしてこの違いは何なのでしょうか?

ではペットと野生の動物よりも
完全に私たちと同じはずである自閉症の人に対しては
どうしてどこか自分たちとは違うと感じてしまうのでしょうか?

例えばペットはペットという存在として理解できるから?
自閉症は自分には理解できない存在だから?
野生動物はどうでしょう。
そもそも同一視していない?

ではペットと野生動物は何が違う?

“理解できない存在”

つまり自分が理解できない存在とは
容姿や生物学上の分類に関わらず
自分に危険が及ぶ危ない存在だと感じるからなのかもしれません。

それが相手が誰であれ
自閉症であっても自閉症でなくても
健常者同士でも親子、夫婦関係など身近な存在であったとしても
自分に理解できない存在というのは危険を感じ
恐怖を感じるからなのかもしれませんね。

だったら自閉症の人の心理や理解も簡単で
自閉症の人からしたら健常者の生きてる世界の方がずっと不思議で
理解が出来ずに恐怖を感じているのかもしれません。

確かに自閉症の人は独特の世界を生きてるように感じますが
それは何も自分とは違う存在ということではなく
単に相手に対する理解が乏しいがゆえに
自分とは違う存在に感じてしまうのでしょう。

そうすると自閉症を理解するために
自閉症の人の視点に立ってこの世の中を考えてみた場合
むしろ健常者の方が奇妙な世界を生きていて(理解できない)
どうしてあれやこれや自分を支配・服従させようと何かと制限をかけてくるのか
理解が出来ず不思議に感じているのかもしれません。

だから健常者のほうがおかしいんですね。
健常者の生きてる世界や自分に向けてくる言動が怖いんです。
何をそんなに自分を困らせようとしてくるのか。

だからお互いどうしても相容れない存在のように感じてしまうのかもしれませんが
互いに見えてる世界や捉え方は違っていたとしても
どちらにとっても同じ心理が働いているということが言えるのではないでしょうか?

そう考えると(相手の立場に立って自分たちのことを理解してみると)
自閉症と健常者といった違いに関係なく
相手のことを尊重すべき存在ということに違いはないのではないでしょうか?

単に自分が理解できないからと相手の存在を否定していたら
恐怖以外の何者でもありません。

それは相手が健常者とて同じことで
自分が相手のことを理解できなければ恐怖心から危険を感じ
自分を守るために相手を支配・服従させようとしてしまうのかもしれませんね。

自閉症の人への虐待や、反対に自閉症の人が突然暴れだすのも
相手に対する無理解から生じる恐怖心からであって
行き着くところは同じ心理が働いているということ。

そう考えると自分と同じ心理に当てはめて考えることが出来ますので
少しでも相手のことを理解しやすくなるのではないでしょうか?

自閉症の人に自分のことを理解してもらい
そして自分も自閉症の人のことを理解する。
もちろん完全に理解し合えるなんてことはありませんけどね。
それは健常者同士であっても同じなのですから。

(自閉症の人は全然何も理解しない、出来ないと思ってませんか?
まさにそこが無理解ということであって、それは違うということです。
それでは相手に恐怖しか感じることができません)

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宮本章太郎
専門家

宮本章太郎(心理カウンセラー)

京都カウンセリングラウンジ

心の健康のみならず、メンタルに関連して起こる様々な身体への影響や健康に関する知識が豊富ですので、うつ対策や不眠症の改善といった、総合的な健康法についても心理学の観点からアドバイスと情報提供が可能です。

宮本章太郎プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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